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ワインとバケット?バケットとクリームシチュー?〜カカさん編〜NO11

我が家にはいつもワインがあって、週末は映画を観ながらワインを飲むのが楽しみ。

だった新婚時代。

子どもができて、お酒を飲まない期間があり、酒豪だったと思われる私ことカカさんは、お酒をそんなに飲みたいと思わなくなった。
ほら、体質が変わるとか、嗜好が変わるとかいうじゃない?
あれかな。コーヒーや、お茶がいいなと思っちゃう。
それにね、もしもよ、もしもココちゃんが夜中に熱を出したら酔っ払ってらんないじゃない?
トトさんが飲むなら飲まないようにしようとか思うの。

お酒<ココちゃん (ココちゃん最強!)

そんな時は、タクシーを呼んだらいいって、えみりにもトトさんにも
おんなじこと言われたけど、酒臭いおかーちゃんではいたくないのよね。
男の人は子どもができても、彼氏彼女の時のままだと思っていそうだけど、
女の人はお母さんになるんだよ。って思う。
あ、これは、えみりには言ってない。だって、トトさんにすぐ話すんだもん。そしたらまた「なんかごめん。」ってモゴモゴ謝られて、そんな大袈裟なことじゃないのに
大袈裟な話みたいになっちゃうからね。

いい奴なんだけどね、えみり。

今では、お酒に強い方ではなかったトトさんの方が、すぐワインを手にとっているかもしれないな。

なぜワインの話をしたかっていうとね、ここんとこ、トトさんが楽しみにしているワインタイムができていないわけ。
それがなんとなーく後ろめたくって、次の週末こそだね。ってのが続いててさ。

鞄からスマホを取り出して、ワインに合うおつまみとか検索してみる。
んーと、この生ハム美味しそ。
チーズも外せないよね。
あ、これならココちゃんも食べられそう。
バケットにしらすとチーズね。オリーブオイルと乾燥パセリ。
あ、これもココちゃんに食べさせてあげたいな。
バケットにエビと玉ねぎとエリンギをチンしてマヨネーズで和えるだけ。その後軽く焼いてもいいな。
あ、ピザみたいにしたらココちゃん喜びそうだな。

ガタン!と、電車が揺れて、顔を上げると、帰り道にあるパン屋が見えた。
店主と奥様が残り少なくなったパンをまとめている様子だった。
電車がホームにつき扉が開く。急ぎ足でパン屋に向かう。
細長いバケットお願い!残っていますように。閉店時間までまだまだ余裕があるのに気持ちが焦っちゃって。

はぁー。はぁー。呼吸を少し整えてから、そっとドアを開けた。
いつもの優しい笑顔。
憧れのご夫婦が、いつ来ても気持ちよく迎えてくれる。ドアを開けるとカランコロンと音が鳴るのも心地よい。

奥様の赤い靴下がかわいい。

「あの、細いバケットありますか?」
あたりを見渡しても見つけられず声をかけた。
「あ、バケットは…。」と、一緒にキョロキョロと探してくれる奥様。
濃いゆったりしたデニムもよく似合う。
奥から店主が「何かお探し?」とにっこり笑顔で出てきて、軽く会釈をしてくれる。会釈で返す。
ココちゃんは、ここのクリームパンが好き。
クリームが重たいぐらいずっしりと入っていて、そんなに甘すぎなくて、飽きないおいしさがいいんだと思う。

「細いバケット、あったと思ったんだけど」と、奥様がいうと、
「あ、バケットね。1本でもよろしいですか?」と、レジの後ろの台に置いてあったバケットを見せてくれた。
最後の1本だから、他のパンとまとめるか迷っていたんだって。

嬉しい!

「ありがとうございました!」
「ありがとうございました。またいらしてくださいね」

お店を出ると、すぐにトトさんに電話をかけた。
「もしもし、トトさん。しらすあったっけ?ある?うんうん、チーズはあったよね?うんうん、かかさんでーす。
はいはい、分かってるよー。うんうん、カカさんでーす。で、あ、うん、
もうすぐ八百屋さんの前あたり。うん、じゃぁ、まっすぐ帰るね!」

「カカさん?カカさんにゃーい(やーい)。ココちゃんれーす(でーす)」ってココちゃんがトトさんの会話をさえぎる。
「トトさんに話させて」「ココちゃんが!」って、この2人のいつものやりとり…ちょっと笑えるんだよね。
それにしてもかわいい。にゃーいだって 笑

「ただいま」ドアを開けると
「おかえりにゃーい」と、ちょっとふざけたココちゃんが出迎えてくれた。
「ただいまにゃーい」ココちゃんと抱っこする。
キッチンから「おかえりー今日はクリームシチューやでー。とろ〜り愛情たっぷり〜や」と、トトさん。
ほら、メニュー言った。笑
和食じゃなくて、よかった。
「パン?ココちゃんのん?」バケットを袋から取り出して匂いを嗅ぐ。
「美味しそうでしょ?」と聞くと「クリーム入ってないやつ?」と、パンに目をくっつけて
覗こうとする。笑。「そんなことしても見えないでしょ。入ってないやつだよ」
「ココちゃん入ってるやつたれたかったぁ(食べたかった)」と残念そうな顔をした。
「美味しいのにしてあげるから」とニッコリ微笑むと、トトさんに見せると嬉しそうにキッチンに走っていった。

「お!バケット?え?クリームシチューって言ってたっけ?言ってないやんな?
すごいな、意思疎通!さすが俺たち仲良し夫婦」

ちょっと違うんだけどな。苦笑
嬉しそうだし、そういうことにしておこう。

ココちゃんに保育園の話を聞きながら、洗濯物を畳んでいると、
「ご飯できたよ」と、トトさんが呼んでくれた。
テーブルに並んでいたのは、美味しそうなクリームシチュー。それから、
きれいに並んだバケット。しらすとルッコラに粉チーズがたっぷりかかったサラダ。
それから。。。。

バケットをシチューに浸しながらおいしーパンになったと喜ぶココちゃんと、満足そうなトトさん。
しらすの上にチーズがとろ〜りのバケットが食べたかったけど、それは週末のお楽しみにしておくことにしよう。そうそう、ワインとね。

シチューの玉ねぎが甘くて美味しい。
ココちゃんが手でジャガイモを握りつぶし、下に落とした。

「こら!それは嫌だな。」
「にゃーい」

笑って誤魔化そうったって、食事で遊ぶのは、カカさん許しませんよ。(かわいいけどさ)
食べ物を粗末にするのは許さない。いくら小さくってもね。作ってくれた人に感謝して食べることで、体に栄養が届くと信じてるから。

トトさんは終始ニコニコ。もー怒って!


寒くなってくるとシチューが食べたくなりますよね。CMのせいかな。今夜シチューにしてみてはいかが?レシピはトトさん編で

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