ムーミンの季節
今、「Sky星を紡ぐ子どもたち」というゲームでムーミンとのコラボを行っており、ついに最終シナリオまでが公開された。その物語がとても素晴らしかった。
原作は短編集『ムーミン谷の仲間たち』収録の「目に見えない子」。
登場するニンニは、住んでいたおばさんとの生活で、皮肉や意地悪をされ、姿が見えなくなってしまった少女。ムーミン一家の元に来たときは首の鈴がわずかに見えるのみで声を発することもできなかった。ムーミン一家の元で心安らぐ時間を経験したニンニは、だんだんと自分の姿を取り戻していくが、顔までは中々見えるようにならない…という物語になっている。
そしてただシナリオを公開するだけではないのがSkyとのコラボ。ニンニの心象風景のような世界を進むサブクエストがあったのだ。色調はモノクロ調で、重要なモチーフのみに色が付く、という世界の中で、ムーミン一家の元に来た時のニンニの心象風景は、ただ独り、暗い家の中を進むというものだった。ニンニは海が怖いという設定が最終シナリオにて明かされているが、そう思ってサブクエストを観ると、足元に水が溜まっているところが多い。時に、強風に襲われたり、家具がバラバラになって浮かんでいたり、シナリオ的には順調に見えてもニンニの心の中ではずっと恐怖が付きまとっていたことがわかる。
トラウマを克服するとはきっとこのように、暗い世界を進んでいくようなものなのだろうなと思った。ただスムーズに事が進むなどありえない。それを見せてくれたムーミンの季節だった。
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