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消えた掲示板のゆくえ

ネット上にはかつても今も多くの掲示板サイトが存在する。
有名な例で言えば5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)などだ。
そこでは匿名で不特定多数の人が書き込み交流し、時には社会現象をも引き起こしている。

そんな掲示板サイトであるが、とある掲示板サイトだけはネット上から姿を消した。「自殺掲示板」という種類の掲示板サイトである。

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今や検索してもこの通り、ネット記事や公的機関のサポートばかりが散見されるようになった。まさに絶滅に近い状態である。
なぜこうなったのか正確な理由を私は知らないが、利用者が減ったのか、自殺掲示板が社会問題になり抹消されていったのかそんなとこであろう。


「自殺掲示板」という類のサイトは10年前までは確かに存在していた。
筆者も8年前〜6年くらい前までは利用していた記憶がある。

自殺掲示板とはどういったサイトであったのか簡単に説明すると、
「死にたい」思いを抱える人達が集まり、その辛い思いや経験を語ったり、時には自殺の仕方を共有したり、集団自殺の募集をかけるコミュニティサイトであった。

その中には当然ネットというアクセスが自由な環境であるため、茶化しに来たり、傷つけることを目的とした書き込みもあった。
その逆も然りで、死にたいわけではないけど「なにか役に立ちたい」と思って聞き役に徹する利用者さえ存在した。


世間一般からすると「自殺掲示板」に良いイメージがないだろう。
2000年代前半からこの手のサイトを通した集団自殺や殺人事件が発生しニュースになったり、近年で言えば2017年の座間連続殺人事件などがあったりする。これだけの報道がなされれば、自殺掲示板への風当たりが強くなるのも当然のことではある。そういった背景から徐々に掲示板の姿は消えた。


しかし、このサイトが無くなったからと言ってこういった事件がなくなるわけではない。むしろ利用者のはけ口を無くし、苦しめるだけとさえ言える。


かつての自殺掲示板には間違いなく需要があった。今もその需要は絶えない。またその供給が絶たれたとしても新たな供給口ができるだけである。
そして最近新たに主流となった供給口がSNSである。特にTwitterなんかは最たる例であろう。


しかし、供給口が変わればその風土も変わる。
Twitterでのそういった書き込みは自殺掲示板のものとは異なるものがあるように思える。


「死にたい」そういったツイートは毎秒のようにされている。
しかし、そのツイートの意味とは、「友達にドタキャンされた辛い」程度のものから「本気で明日死のう」とする者まで様々である。
どれが本当の「死にたい」でどれが比喩的な「死にたくなるほど辛い」なのかは判別することが難しい。


Twitterには病み垢界隈というものがある。
病み垢とでも検索すればその実態を垣間見えると思う。
いろんな辛い人が存在し、それをただひたすらに吐き出す。
そしてそれに対し、共感したり、時にはメッセージを送ったりする。
そんなコミュニティがTwitterの特性だろう。


私がここ数年で感じているのはここに対する違和感である。
自殺掲示板には本気で死のうとする人間がよく集まり、そこで共助するシステムが一部では存在していた。
それに対しTwitterは一方的な発信が主であり、そこには共助、もっと言うならば「会話」というものが存在していない。


どちらが良い・悪いの話ではない。
ただ、自由な発信が容易になったからこそ人に寄り添えなくなったのではないのかと感じている。


かつての自殺掲示板では、死を遂行する人間もいたがそれ以上に思いとどまる人がいた。掲示板に書き込み、聞いてもらい、同じような辛い人がいることを知り、そして耳を傾けてくれる人がいた。
また、それを見ることで同じような辛い人が「こういった辛い人も頑張っているんだ」とか「ここなら知らない人がいざとなったら助けてくれる」そういった思いを持っていた。私もそういった人の1人であった。


名前も顔も知らない人が「優しさ」だけで助けてくれる環境がそこにはあった。これほど人間味のある「人の優しさ」だけで構成された空間は現代ではなかなか見当たらないだろう。
Twitterでもそういった取り組みをしている方も多くいるが、それ以上に自己発信に留まりやすい環境になってしまっていると思っている。


だからこそ、自殺掲示板とTwitterでは似て非なるもののように感じる。


消えた掲示板のゆくえ。
あの優しさにあふれるコミュニティはどこに消えってしまったのだろうか。
あのコミュニティは本当に消えてよかったものなのだろうか。


私はそんなコミュニティを探しに今日もTwitterに潜り込む。

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