マガジンのカバー画像

明治 近代文学 名著復刻版

38
1868〜1912(明治元年〜明治45年)
運営しているクリエイター

#感性

吾輩ハ猫デアル

夏目漱石 39歳。 この本を見て驚いたのがページが袋とじになっている「アンカット本」で、ペーパーナイフを使ってページをカットするのだとか。ちょっと面倒だけどなんとなく特別感がありますよね。 とはいえ、最初は「あ、ページがくっついている。製本ミスだ」って。でも思い直して調べてみたらこのままでいいのがわかりました… もうひとつ注目したいのが表紙よりページのサイズのほうが大きいこと。なのでページすべてが表紙からはみ出しています。カットしやすいようにこのようにしているのかな?

海潮音

上田敏 31歳。 ヨーロッパの詩を訳したもの。 厚めの和紙一枚で本を覆うという珍しいタイプのカバー。 日露戦争で満州に出征していた森鴎外へ献呈。 ・・・ ◎「落葉」 ヴェルレーヌ(フランスの詩人) ・・・ ◎「山のあなた」 カール・ブッセ(ドイツの詩人) 五七調。流れるような優しい言葉。声に出して読むとなぜか心が落ち着いてきます。まるでヒーリングの効果があるような不思議な感覚☺️ 学生の頃に「どこかで習った」かもしれない上田敏の訳詞です。 ・・・ 訳者 上

若菜集

島崎藤村 25歳。 藤村はじめての詩集。浪漫的な七五調。 装丁と挿絵は中村不折(洋画家、書家)。 表紙をあけたときに目に入るレッドピンク色のひらがな。目次も同様。 * ◎・・初恋・・◎ * ◎・・秋風の歌・・◎ * ◎・・四つの袖・・◎ * * 詩もイラストも上品でステキ。当時の女性たちに人気だったのも納得です。 本名、島崎春樹(島崎藤村)、発行は春陽堂。 島崎藤村は3月25日生まれなので春樹という名前なのでしょうか。 ひょっとして著名なあの作家さん(も

尾花集

幸田露伴 25歳。 嵩山堂出版。 十字折り。広げてみることができるようになっています。👆 今でいうと「分厚めの文庫本」という感じです。 「尾花集」と書かれた切手風。出版元の「嵩山堂」。 職人大工の努力物語。当時新興国だった日本がこれからますます力をつけていく。そんな時代背景もあり特に受け入れられたようです。 幸田露伴から見た「渋沢栄一」とはどんな人物だったのでしょうか。ちょっと読んでみたい気もする🤫

蓬莱曲

北村透谷 23歳。 幻想的な劇詩。ゲーテ「ファウスト」の影響を受けているようです。 北村門太郎(透谷)自費出版。*住所が同じ エネルギッシュにさまざまな体験をしてきた北村透谷ですが、25歳でこの世を去っています。 短い人生だったけれど一生分の経験を一気に駆け巡ったような気がする・・ 知り合いだった島崎藤村に大きな影響を与えたそうです。