
藤井風が目指すのは、Grammyの”Best Traditional Pop Vocal Album”賞か?Jazzフェス出演発表後の考察
藤井風が、オランダで7月に開催されるNN North Sea Jazz Festival [Rotterdam]に出演することが発表された。
藤井風についてよく知っている人ならば、彼がJazzフェスに出ることは、不思議とは思わないだろう。彼の作品における複雑なコード進行は、Jazzに影響されているし、彼の父親の三男さんが、Jazz愛好家で、子供の頃から、実家でJazzを浴びに浴びて育っていることはファンの間では周知されていることだ。また、オリジナル曲リリース前に開催された、藤井風の最初のワンマンライブのタイトルは、「Fujii Kaze "JAZZ&PIANO" The First」。
つまりは、彼の音楽とJazzは切っても切れない関係性なのである。
昨年の10月にNHKで放送された「藤井 風 ~登れ、世界へ」~で、藤井風は、自分の誕生日、つまり6/14までには、3rdアルバムを発表したいと言っていた。
このジャスフェスは、7月。新曲をお披露目する場と考えると、全曲英語の歌詞の3rd アルバムは、Jazzがベースなのだろう。そこには、自分の原点となる音楽に還るということ、そして、商業的に、ポップスでは並み居る欧米のアーティストのなかで埋もれてしまうと判断したのではないか?
おそらく、グラミー賞の” Best Traditional Pop Vocal Album”を狙っていくのではないかと思った。
グラミー賞て、General FieldのいわゆるBig4
Record of the Year
Album of the Year
Song of the Year
Best New Artist
が有名だが、それ以外にカントリー、ジャズ、ラテン、R&B、クラシックと、ジャンルごとに多岐に多くの賞が存在している。
そのなかに、” Best Traditional Pop Vocal Album”という賞がある。
この賞は、スタンダード・ポップやビッグバンド、ジャズに影響を受けたポップ・ヴォーカルアルバムが対象となり、一般的なポップスやロックの要素が強い作品は対象とならない。そして、アルバムの51%以上がボーカルを含む楽曲である必要がある。
過去の受賞者を見ると、トニー・ベネット、マイケル・ブーブレ、ハリー・コニック・JRなんかも、含まれている。先日発表されたばかりの2025年は、ノラ・ジョーンズが受賞した。
つまりは、土臭いジャズというより、ポップで聞きやすいジャズのボーカリストが受賞しているということだ。
私がこの賞を知ったきっかけは、2024年のGrammyで、Laufeyが受賞しているからである。
実は、昨年、私がAmazon Musicで藤井風の次に多く聞いたアーティストは、このLaufeyであった。Amazon Musicのプレイリストでふと知った彼女の1曲から気になってアルバムを聞いたら、ヨーロピアンな香りが漂う雰囲気と心地いいジャズの調べ、低音で落ち着いたメロウな歌声にヒーリングされ、ほぼ毎日聞いていたころもあった。
Laufeyは、アイスランド人と中国人のハーフ。中国人の母方の家族がクラシックの音楽家ぞろいで、母はアイスランド交響楽団の首席ヴァイオリニストということ。彼女も幼いころから、ヴァイオリン、チェロ、ピアノを習っていたらしい。父親は、ジャズ好きのアイスランド人とのこと。
アメリカの名門バークリーに入学したが、コロナのパンデミックでアイスランドに帰国し、TikTokでJazzのスタンダードナンバーを投稿したら、Z世代にJazzの魅力を紹介したと言われるようになったということ。その音楽は、ビリー・アイリッシュやBTSのVにシェアされ、認知が拡大。弱冠24歳で2ndアルバム『Bewitched』で彼女は、グラミー賞を受賞するのだ。
ジャズのスウィング感、クラシックの優雅さ、ポップスのキャッチーさを組み合わせた独自のサウンド、レトロだけど新鮮なアレンジ。そして、唯一無二の低音だけどクリアに歌詞が聞こえるアンニュイさが漂うボーカル。
おいおい、ここは藤井風のnoteのはず。。でも、ここまで、Laufeyのこと書いてると、なんか、藤井風のバックグランドとちょっと似ている気もするのだ。。
藤井風の両親は音楽家ではないが、父はミュージシャンを目指していたみたいだし、音楽好き一家で、幼いころからクラシックのピアノやジャズのサックスを習っていて、YouTubeのカバー投稿で見いだされ、コロナ禍にデビューした。
年齢もLaufeyが風くんより、2つ下だが、同世代。彼の音楽も、クラシック、ジャズ、洋楽、そして日本の歌謡曲の影響を受けており、それらを融合しポップスとして大衆が受けやすい曲にしている。彼の低音が魅力のフェイクを多用したボーカルも唯一無二だ。
Laufeyの曲の歌詞はLove Songsがベースとなっており、風くんのように宗教色の強いメッセージ性はないが、音楽性やアジア人がルーツという共通点を持つLaufeyをアメリカ進出時のロールモデルとして、プロデュース側が考えているような気がしてならない。。
そして、もちろん、LaufeyはNN North Sea Jazz Festivalに、2023年に出演している。
妄想に近い考察だが、Laufeyのような成功が、Fujii Kazeの3rd Albumに訪れることを祈ってやまない。。