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夜が菌活のゴールデンタイム説~どうして美肌には常在菌が大事なのか~


常在菌には昼夜の概念がある?ない?


表題についてですが、結論から申し上げますと「今のところはない」です。まだまだ常在菌に関しては明らかになっていない部分が非常に多く、日夜たゆまぬ研究によって少しずつ彼らの生態が明らかになっていっています。
話は変わりますが眠る事はお好きですか?生物にとって眠れないことは死活問題です。
一方、常在菌の睡眠事情はどのようになっているのでしょうか。実は常在菌にはぐっすり眠るという概念は今のところ発見されていないそうです。人間が眠っている間に常在菌も一緒になって眠る…ということはなく、寧ろ元気になっているとか。そして、私達が眠っている間、皮膚は表皮ブドウ球菌に限らず常在菌にとって嬉しい環境になっています。

夜は育菌する上で重要な時間


主に美肌菌と言われる表皮ブドウ球菌の餌は皮脂と汗。乾燥に弱い表皮ブドウ球菌にとって、水分の供給源になる汗も重要な存在です。それに加えて餌となる皮脂などの分泌物を酸化させる紫外線も、菌にとっては汚れであるメイクも肌についていない。まさに表皮ブドウ球菌にとって絶好の環境なのです。これが、HANAオーガニックが夜に着目している理由の一つでもあります。
ところで美肌菌が増えるとお肌がきれいになる、とよく見かけますが、具体的にどのような効果があるかご存知でしょうか。
表皮ブドウ球菌は皮脂の成分であるトリグリセリドを分解し、グリセリンと酸性物質を作ります。これが皮膜となって、皮膚のバリア機能となります。常在菌の中には表皮細胞を刺激して抗菌ペプチドの産生を促す役割を持っている種類もあります。抗菌ペプチドは、読んで字のごとく悪玉菌を殺菌する作用があり、かつ直接的な抗炎症作用を有します。これも皮膚のバリア機能の一部となるのです。常在菌によって作り出される皮脂膜、肌が異物を入れないようにブロックしている角質層、そして抗菌ペプチドなどの産生物質。これらすべての要因により、皮膚のバリア機能が出来上がっています。バリア機能が整うと肌の極端な乾燥や皮脂が出すぎるという事もなくなり、乾燥から起こるしわやたるみ、くすみなども軽減され肌が明るくきれいになります。
ちなみに表皮ブドウ球菌は、自らが好む酸素が優位な環境(好気的条件)および弱酸性下であれば、夜も眠っている間に分泌される皮脂や汗を餌として脂肪酸を作り、肌を弱酸酸性に保ってくれます。。常在菌のバランスを整えることで、悪性の高い常在菌の繁殖を防ぎ、バリア機能を向上させることが出来るのです。

お風呂や手洗いで常在菌はどうなってしまうのか


ある時、お客様から「常在菌って石けんで洗顔をするといなくなってしまうの?」というご質問を頂きました。
確かに皮膚の常在菌は入浴や洗顔によって一時的に菌の数は減ります。ただし原則として皮膚表面ではなく皮膜に多く存在しているので、皮膜は高い洗浄力を有する洗顔料や、お顔をごしごしと洗いすぎない限り一定量は顔に残っています。常在菌は肌が清潔になった後、自分が生きていけそうな環境の場合はまた増え始めます。30分ほどで元の数に戻ると言われています。

スキンケアはシンプルに


育菌をするからには必ず化粧水や乳液を見直さなきゃ!…というわけではありません。例えば、殺菌作用があるものは全て悪い、というわけではありません。
実は弊社の化粧水や乳液、美容液などに使用されているローズウォーターにも抗菌作用(菌を取り除ける作用)があります。ただ、ローズウォーターの場合は肌にあまりいい働きをしない菌を積極的に抑えるという意味での抗菌作用です。勿論、濃度を濃くすれば表皮ブドウ球菌などのいい菌の働きも抑えてしまうのですが、その部分を調整できるのがローズウォーターの利点でもあります。殺菌作用や抗菌作用は時に肌にとって良くない菌を抑えたりする働きがあるのです。しかし肌にとって刺激の強いスキンケア商品を毎日使うことや、すべての菌に対して強い殺菌作用がある成分や、静菌作用(増殖を抑える作用)のある成分を用いたものは控えたほうがいいかもしれません。特に、イソプロパノールはアルコールよりも殺菌作用が強く、更に脱脂作用という働きがあり、必要な皮脂まで取ってしまう場合があります。皮脂を取ってしまう事は表皮ブドウ球菌の餌がなくなってしまう事に繋がります。育菌をしている際は気を付ける必要があるでしょう。また、合成ポリマーはぴったりとお肌にラップをして水分を逃がさないようにすることでもちもち肌を実現しますが、酸素が大好きな表皮ブドウ球菌にとっては過酷な環境を作り上げてしまいます。

好きな化粧品、メイク用品を使いながら肌の常在菌バランスを整えるためには、夜のケアをシンプルにして常在菌がのびのびと増えることの出来る環境を整えてあげることが一番の近道なのです。


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