遺産の調査方法
こんにちは。宝塚花のみち法律事務所の弁護士の木野達夫です。
相続手続きにおいて、被相続人の遺産の内容を正確に把握することはきわめて重要です。
遺産のうち代表的なものは不動産と金融資産です。
以下では、不動産と金融資産に分けて調査方法について説明します。
不動産の調査方法
不動産の調査では、まず法務局での登記事項証明書の取得が基本です。
登記事項証明書には、土地や建物の面積、所有者の名義変更履歴、抵当権の有無などが記載されています。この証明書を取得することで、相続対象の不動産を特定し、権利関係を確認することが可能です。
また、市区町村役場での名寄帳(固定資産税課税台帳)の確認も重要です。
名寄帳は、特定の市町村内にある不動産を所有者ごとに網羅的に記録しているため、登記されていない土地や建物も含めて被相続人の不動産を把握できます。
ただし、この名寄帳には非課税の不動産は記載されていません。非課税の不動産というのは、例えば自宅前の公衆用道路(私道)です。自宅前の道路が私道である可能性がある場合には注意が必要です。
さらに、不動産の固定資産評価証明書を取得することで、遺産の評価額の目安が判明します。固定資産評価証明書も市区町村役場で取得できます。
金融資産の調査方法
金融資産の調査は、被相続人が生前に利用していた銀行口座や証券口座の確認から始めます。
まず、通帳、キャッシュカード等を調査し、どの金融機関に預貯金の口座があるかを確認します。
預貯金口座の存在する金融機関に対して残高証明書を請求すれば預貯金の残高を知ることができます。また、取引口座の取引履歴を請求すれば、過去の取引の経緯を知ることが可能です。
次に、遺品の中に証券会社からの郵送物等があると、当該証券会社に証券口座が存在する可能性が高いといえます。
当該証券会社に対して、残高証明書の発行請求を行い、保有銘柄や株数を確認します。
なお、取引をしていた証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(通称「ほふり」)に対して登録済加入者情報の開示請求を行うことで、被相続人が口座を開設していた証券会社、信託銀行等の名称等の情報が確認できます。
もっとも、登録済加入者情報の開示では、株式等の銘柄名、取引履歴、保有残高等は開示されませんので、各証券会社等に対してそれらの開示請求を行う必要があります。
まとめ
遺産の調査方法として、不動産については、登記事項証明書、名寄帳、固定資産評価証明書等の取得が基本になります。
金融資産については、通帳や金融機関からの郵便物等を手がかりにして口座の存在する金融機関を特定し、残高証明書等を請求します。
証券会社が分からない場合には、「ほふり」に対して登録済加入者情報の開示請求を行うという手段があります。
ここでは他にも、基本的な法律知識から専門的な戦略まで、皆さんの人生のどこかで役に立つかもしれない情報を発信していきますので、よければフォローしていただければと思います。また、その他法律に関するコラムはこちらからもご覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう。