インターンを終えて(参加者による寄稿)
2024 年 9 月 22 日から 10 月6日の 2 週間、花紫のインターンに参加させていただきました石村です。
今回のインターンについてまとめさせていただきます。
志望動機
将来、旅行・観光業界で働きたいと考えており、そのためには現場での経験が必要だと感じていました。大学で花紫さんの講演を聞いた際、旅館業務にただ参加するだけでなく、自分の意見やアイデアを活かせる環境があると知り、インターンシップに魅力を感じました。また、地元石川県の旅館で、地域の観光業を「おもてなし」を提供する側から学び、石川の魅力を伝えられる視点を得たいという思いもありました。
さらに、花紫さんが旅館の全面リフォームやアラカルトのリニューアルなど、今までの花紫や旅館の伝統的なイメージを守り共存しつつ、常に新しい風を取り入れている点にも惹かれました。旅行が趣味の私にとって、お客様としてではなくおもてなしを提供する側に立つことで、旅館業の奥深さを体感し、今後の就職活動につながれればいいと考え、志望しました。
業務内容
・接客業務(1 日間)
今回インターン中に風邪をひいてしまったため、当初の予定とは異なり、1 日間のみ朝食業務を行いました。
・フロント業務(5 日間)
チェックイン、チェックアウト、お部屋案内を行いました。その他にも、荷物の部屋入れ、茶房のお手伝いとしてお茶出し、食器洗いなどを行いました。
学び
おもてなしの心と細やかな気遣い
今回のインターンシップでまず強く学んだのは、おもてなしに込められた細やかな気遣いの大切さです。花紫さんでは「お客様に明日への活力の源をお届けする」を使命、「ようこそマインドを創りあげよう」を社訓としています。ようこそマインドとは、お客様目線でサービスの提供を考え、ニーズに対して既成概念にとらわれず、旅館を進化させ続けること、と教えていただきました。お客様に特別で心地よい時間を過ごしてもらうため、スタッフ一人一人が細部まで気を配り、笑顔で温かみのある接客をされていました。
特に印象的だったのは外国のお客様対応のときです。英語でのコミュニケーションが少し苦手な韓国からのお客様のイレギュラーな応対時に、通常の英語案内に加えて韓国語での案内も手書きで付け加えていました。お客様目線だったからこそ、マニュアル通りの英語案内で押し通すのではなく、韓国語表記を加えることができたのだと思いました。お客様が安心して満足した表情を見て、スタッフの方を改めて尊敬したと同時に、私もうれしくなったことを覚えています。
相手の目線で考えるというのは、大人でも難しいことかもしませんが、スタッフの方を見ていると、お客様の行動や言葉をよく見て聞いており、だからこそ一人一人が求めていることが先回りして分かるのだとわかりました。
伝統を守りつつ、新しい価値をつくる姿勢
「花紫」では、旅館の伝統を大切にしながらも、常に新しい価値を追求していました。例えば、館内には四季に合わせて変わるウェルカムティーや着物、ギャラリーがあり、訪れるたびに新鮮な発見ができるよう工夫されていました。
こうした「四季折々の日本文化」を反映させる取り組みは、リピート客にも飽きのこない楽しさを提供することに繋がっていると感じました。インターンシップを通して、お客様が非日常の空間を存分に楽しめるように、スタッフ一人ひとりが常に変化を意識し、定期的に行われる研修などで自分の知識やスキルをアップデートしていることがわかりまし た。研修があることで飽きることなく続けられるほかに、自分の仕事に対する愛情も深まり、それがやりがいにつながっているのかもしれないと感じました。
旅館のスタッフの方々が花紫で働くことに誇りを感じ、自分の仕事に深い愛情を持って取り組んでいる姿は、私にとって大きな刺激となりました。どのスタッフも、それぞれの役割に責任を持ちつつ、お客様の期待に応えるために尽力していることが伝わり、私もこのような姿勢で仕事に取り組みたいと思いました。こうして伝統を守りながらも新しい価値を生み出し続けることが、お客様にとっても働く側にとっても価値ある時間を提供できると実感しました。
高級旅館におけるチームワークと連携の重要性
最後に、チームワークとスタッフ間の連携がいかに大切かを学びました。お客様一人一人のご要望に応えるためには、スタッフ全員が一体となって動く必要があります。大学の講演で「旅館の仕事はまさにリレー」とおっしゃっていた通り、些細な情報でも常に共有 し、スムーズに連携できることが欠かせないと感じました。
例えば、予約確認時やご到着時にスタッフが見たり聞いたりした、「おみあしが悪い」という情報が入れば、客室の椅子を少し高いものに、「左利き」という情報が入れば食器を左利き用に、それらをお客様にわざわざお知らせすることなく、そっと変えていました。情報は PC で一括管理され、インカムでこまめに連絡を取っていることで、速く、的確なおもてなしの提供につながっていました。
また、フロントで私が頼まれたお客様の対応を、私が少し他の業務に時間がかかっている間に、茶房スタッフの方が既にしてくださっていたときがありました。そのときに、お客様にとっては「誰がした」ではなく、「何をしてくれた」、のほうが重要だと気づきまし た。誰がやったのかということは働いている側からすると重要視されることだと思いますが、それをお客様に押し付けず、花紫全体でおもてなしをする姿勢に感動しました。
スタッフの方が仰っていた「お客様がどれだけ気持ちよく始められるか、終えられるかがかかっている。接待さんが盛り上げてきたものを受け継ぐのがフロント。」という言葉が印象に残っています。お客様一人一人の明日への活力となるサービスは、「ようこそマインド」をもとにしたチームワークと連携なしでは成り立たないと感じました。
インタビュー
花紫でフロント 2 年目のH さんにインタビューさせていただきました。
私が特に好きになった花紫の場所
今回のインターンシップで、花紫さんが大好きになりました。大好きになったところは人スタッフの方の人間性やお食事、お部屋、それらすべてのこだわりの深さなどなど数えきれないほどにあるのですが、「ロビーと館内の一角の空間」に絞ってご紹介します。
黒と白を基調としたシンプルなかっこいいデザインで、館内がシンプルだからこそ、外からの自然の緑や川が放つ光が美しさを際立たせていました。現代の情報に溢れた環境から少し離れた、まさに非日常で特別な空間でした。また、入口には花紫オリジナルのお香が漂い、訪れると心が静かになるような空間づくりがなされていました。こうした落ち着いた空間は、伝統的な侘び寂びや禅の精神を感じさせ、日本文化と自然が調和していると感じました。
印象的だったのは、作品の展示方法に「文化の継承とおもてなし」の精神が込められている点です。作品はギャラリーにて一つの特別な空間として展示されている他に、館内のさまざまな場所に配置されていて、旅館全体が美術館のような雰囲気でした。これにより、お客様は館内を歩きながら石川県の美しい伝統工芸や四季折々のアートを自然と楽しむことができ、「美しいものとの偶然の出会い」を体験できます。このように、館内を巡る時間そのものが特別な体験になるように設計されている点は、「花紫」がただの宿泊施設ではなく、特別な思い出をつくる場であると感じさせるものでした。
このような館内にアート作品を展示販売することは文化をお客様に伝えるほかに、昔の旅館が持っていた役割、「作家さんの作品制作の環境づくり」の意味を持つと教えていただきました。旅館とお客様、旅館と工芸作家さん、お客様と工芸作家さんといった、全員が幸せになる関係作りをしている点も素晴らしいと感じました。
感想
今回のインターンシップを通じ、フロント業務はお客様が花紫を後にする最後のひとときを共に過ごす重要な役割だと感じました。リピートされるお客様にとっては、花紫は人生の節目ごとに訪れる場所であり、スタッフとしてその人生の「線」を彩るお手伝いができることに感動しました。
また、若いスタッフがリーダーとして活躍し、自分の成長機会をつかめる会社だと実感しました。初日に接待スタッフの方から「この仕事は大変かもしれない。でも、意味のある大変さがある。」という言葉を聞き、私にとっての「やりがいと成長機会」という就職活動の軸を見つける大きなきっかけになりました。私の風邪により、1 週間ととても短くなってしまったインターンでしたが、大変貴重な多くのことを学べました。体調不良に対してしっかり休むことを提案してくださったのも、「休みの大切さ」を分かっている素晴らしい会社だと感じました。
花紫さんのインターンシップに参加することができて本当に良かったです。ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?