はじめてのバッセン
生まれて初めてバッティングセンターに行った
1000円で6ゲームできるらしい
「6ゲームって少ないね」
って言ったら、後輩が
「2ゲームあれば十分っすよ」
って返してきた。結局半分こずつして、ひとり3ゲームすることになった。
70キロでも速いよなぁと思いながら、1番軽いバットを持って打席に入る。
コインを入れると、前にあったの水色のブルドーザーみたいな機械が動き出した。
「わぁぁあ」
シュッっという音にあわててブンっとバットを振る。
カンッと空っぽな音を立ててボールは右端に転がっていった。
「もうちょいベースに近づいたほうがええで」
と後ろで見守ってくれている同期が言う。
言われるがままにベースに近づき、次の音を待つ。
スカッ、スカッ、キンッ、カンッ、スカッ、スカッ、スカッ、カンッ。
空振りまみれかと思いきや意外と打てた。
もっともっとっと待っていると水色のブルドーザーは動かなくなった。
終わりってことか。
残りのコインも70キロコースで使うことにした。
「ボールが当たるまでボールを見続けるんすよ」
ともうコインを使い切った後輩が言ってきた。
ほうほう。ボールを見る、ね。
なんだよ!ボールを見るって!怖!と思いながらバットを振る。
ブンッ、カンッ、スカッ、スカッ、カンッのリズムを刻んでいた。
ボールが当たった時の、重さが心地よい。
わたしの力では完全に押し返すことができず、右側に消えていくボールたち。
そして、3枚のコインはあっという間になくなった。
楽しかったねと言いながらみんなで帰る。
次の日、肩から上に手を伸ばすことができなることを知らずに。