エビフライの謎
気づいたら年の瀬。あっという間の2020年だった。来年こそは! と息巻くのもこの時期の恒例だが、近々、2021年を実りある年にすべく、 MKコーポレーションのブランクスペースメディテーション(BSM)ワークショップに参加しようと思っている。
特殊な能力などなくても、場のエネルギーが調整されたBSM空間では少し先の未来を見ることができる。ただ、それは起こり得る最良の未来なので、進み方を間違えれば実現しない場合がある。だから、最良の未来を手に入れるべく、ヴィジョンをもとに行動計画を立てようというわけだ。
BSMは瞑想主体だが、受け取るヴィジョンやことばやイメージなどは、自分が自分に向けたメッセージだとされている。
これまで何度か参加しているが、ヴィジョンで見た場面や景色に実際に遭遇することがある。ヴィジョンが実現化するのだ。これはテンションが上がるし、自分への信頼が増す。
ただ、私のヴィジョンはクセがすごくて、手に余ることも少なくない……。
ある時、机に置かれたエビフライのヴィジョンを見た。皿なしの直置きである。どういうこと!?
考えても考えても、意味はわからなかった。
往々にして、こういうメタファー的なヴィジョンが私を襲い、混乱させるのだ。
わけがわからないと、私は拗ねるクセがある。くそ、ビジョンなんて、ビジョンなんて。どうせ、私の頭が作り出した妄想だ! そんなもの忘れてしまえ! と。
それから半年ぐらい経ち、エビフライのことなんてすっかり忘れて、若手芸人によるお笑い番組を見ていたときのことである。
私は突然の出来事に目を丸くした。
学園モノのコント中、コンビのボケが、ポケットからエビフライを取り出して、机の上に置いたのだ。しかも直置き。びっくりした。小道具のエビフライだったとは!
かくして、ヴィジョンは実現した。でも、その衝撃はすぐにフラストレーションに変わった。
……で、それが何なんだ!?
結局、エビフライの謎は解けぬまま、一年が過ぎた。
ところが、つい先日のこと。ふとこの出来事を思い出した瞬間、直感的に答えが浮かんだのだ。
それは、あり得なそうに思えても現実になることがある、ということ。
エビフライばかりに気をとられて視野がせまくなっていたときには、ちっとも気づけなかった。
答えが出たら、この先の未来に微かな希望が生まれて、やさぐれていた私の胸が小躍りした。
身体は正直だ。答えはたぶん合っている。
かくして、エビフライの謎は解けた。
ちなみに、このコーナータイトル「空飛ぶクラゲ」もヴィジョンの1つからつけたものだ。いつかその意味することが分かるといいなという願いを込めて。