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日本初のキャリアコンサルタントになった訳 その4

 お待たせしました! いよいよ、誰もいなかったのにソモソモどうやってキャリアコンサルタントという仕事と名前を発案したのか?という肝心かなめの話をしたいと思います!
 思えば私は会社員時代から「新規事情を考える」トレーニングを積まされていました。それは丸井という会社の社風だったのかもしれません。新規事業を考えるプロジェクトがあり、そこで「100本ノック」のようにたくさんの企画を出す練習をしていました。
 第一子を出産して会社を休養し、少し仕事に迷いが生じていた私は、いつものように新規事業を考えるプロットに自然にすーっと入っていきました。

1. 強味を洗い出す 100個書き出す

 新規事業の立案でいつも上司に言われていたことは、「今ある財産を有効活用する。得意な分野で勝負する。無から有を産むのではない」ということです。個人で言えば、「今持っている自分の強みを生かす」ということでしょう。強味というのは性格的なものだけでなく、経験ですね。
今の私には何ができるだろうか? と考えました。丸井での経験をどう生かすか。何ができるかを書き出しました。

 広報・・・ニュースリリースの作成、パブリシティの仕方、マスコミ人脈、パンフレットなどの作成、広告作成、校正業務、・・・
 人事・・・採用 PG訪問、説明会、面接試験、面接講評の仕方、教育研修講師、人事の基礎知識、・・・

 という具合です。およそ100個書き出しました。たくさん書き出せたのは5つの部署で働いたおかげです。

2.ニーズを知る 半歩先

当時の丸井の社長(現在は会長)の青井忠雄氏がよく「時流に合わせる。それも半歩先を行け。一歩では先過ぎる」と言っていました。私は広報担当として、取材に答える青井社長の言葉を繰り返し、繰り返し、何度も聞いて、さらにそれが掲載された新聞記事を確認し、と刷り込まれていました。
 つまりニーズを掬い取るということ。情報に敏感になるということです。情報に敏感になるといろいろなことが見えてきます。
 車を買おうとして、「白い車がいい」と言われると、街中で白い車が気になり始めます。こんなにたくさんの白い車が走っていたのか、と今まで見えなかったものが、見えるようになります。

3.やりたいことは? 人に貢献

 本当はこれが一番です。まずここからスタートしましょう。私がやりたかったのは・・・・実は特に思いつかなかったので、できることとニーズの中から、やりたいことをさがしました。いえ、一つだけありました! 「社会貢献になること!」と定義しました。人の役に立つこと。これからは社会貢献のために働こう、と。それまでの仕事はひたすら自分の向上のためでした。自己実現といえば聞こえはいいですが。ただただ目標に向かって走り続けた。自分のためだけに。ところが出産を機に、はじめて人の役に立つという視点が生まれたんですね。といっても何も「出産で神がかった」というのではなく、妊娠、出産で多くの人に助けられる経験をして、自分も人の役に立たないとダメだ、と思えたのです。そう、生まれて初めて! 自分が生んで初めて人の役に立ちたいと心底思えました。その歳、32歳になるまで気づかなかったなんて、とんだ愚か者です。

4.ターゲット設定は細かく 『Hanako』に学んだ

 人の役に立つ仕事がしたい、ではその「人」って誰だろう。マーケティング的にいえば、ターゲットですね。ターゲット設定を明確にすることは何より大事です。しかも細かく設定する。これは私が広報の社内報の担当で『Hanako』の創刊時、編集長にインタビューした際に学びました。雑誌『Hanako』は細かく読者を定義してスタートして大ヒットしました。バブルの申し子のような雑誌です。バブル消費をけん引していました。ターゲットは漠然と何歳くらいで、ではなく、はっきりと「25歳。都内港区白金に住んでいて、仕事は商社のOL。趣味はダイビング。お休みの日は下北沢で買い物。伊豆のダイビングスポットに潜りに行くことも。長い休みにはプーケットでダイビング」・・・・と細かく設定してスタートしたのです。(この中身は仮ですよ) 。私もそれ以来、『Hanako』に倣い、ターゲットを細かく具体的に設定することにはこだわっています。

5. ニュースを見ていた その時突然に!

   出産後、赤ちゃんに3時間おきに授乳していた私は寝不足でボーッとした頭でテレビのニュースを見ていました。ニュースは何より私の好きな番組です。ジャーナリストになりたかった私は報道番組が大好き。出産してもそれだけは欠かせません。ある日いつものようにテレビのニュースを見ていたら、スーツを着た女子学生がズラーっと行列になっている光景が映し出されていました。「バブル崩壊により、景気が一気に落ち込んできて、女子学生が就職に困り、超氷河期と言う言葉が生まれました」と。そのとき、ぼやっとしていた視界の中、急に焦点がググっと絞られて、ピントがテレビ画面に合いました。「女子学生が就職に困っている? 就職? 私なら困っている女子学生の役に立てるかもしれない!」と私はとっさにそうひらめきました。私は企業の人事で採用する側だった。面接官をしていて、たくさんの学生に会う中で「この人はもう少し顔を上げて話せばいいのに」とか「この人はうちよりも他の業界に向いているな」とか余計な事をいろいろ考えたものでした。うちには合わないけれどほかのところなら、とアドバイスしてあげたかったけれど、それはできません。そんな暇ありません。次々に来る学生を面接しなくてはならず、コメントを書かなくてはならず、点数をつけなくてはならず、行きつく間もなく、自分の仕事にまい進するのみでした。
 人事での採用の経験、私自身が女子学生だったときの迷い失敗、そして10年間の会社員経験とその後の出産、これらの経験から得たものを女子学生に伝えたい。アドバイスしたい。そう考えました。

6 ベン図で考える

これまでのことをまとめると、以下の3点になります。

WILL やりたいこと
CAN できること 過去の経験
NEEDS 時代、地域のニーズ

 この3つの視点は転職の時、起業の時、皆さんにも役に立つものだと思います。キャリアコンサルティングではNEEDSのところをMUSTと言うこともありますが、私はNEEDSの方がしっくりくると思います。
   みなさんもこの3つの視点で考えてみてください。私は自分の実体験から、これを考え付きました。


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