眠れなかったから、大好きな女の社員さんに会いに行った話
私の寮は門限が10時である。
そのため遅くまでバイトに入る時は、寮に帰省届けを提出し、その後はネカフェに泊まって朝帰るのである。私は不真面目なのでそういうことばかりしている。
今日も深夜までバイトに入っていたので、ネカフェに来た。
ネカフェに来たとはいえ、ネカフェのリクライニングソファーでは眠れない。朝の4時になっても寝れないのでコンビニにアイスを買いに行った。そのコンビニの近くに、私がバイトしている飲食店の別の店舗があり、そこで、私のバイト先に以前までいた大好きな女の社員さんが始発の電車を待っていた。
LINEをしたら「店おいで!」と言ってくれたので、差し入れを買ってお店に遊びに行った。
朝の4時でも新宿は車が何台か走る。9月の早朝の風は爽やかで気持ち良かった。
お店に行くと、その社員さんがミニ丼を作ってくれた。むしゃむしゃ食べながら、今のバイト先の話や、私の恋愛の話を聞いてくれた。
締め作業をした後の店内は、静かで私たちしか世界に居ないような感じがしてとても新鮮だった。
電車の時間になり、私たち2人が外に出た時は完全に明るくなっていた。駅で別れたあと、私は再びネカフェに戻って、一眠りして帰る準備をした。
私が電車に乗って寮まで戻る時には、いつもの日常に戻っていた。でもこの電車に乗っている人の中には、その女の社員さんと同じように朝まで仕事をしてきてから出勤とか、帰宅する人が居るのかなと思いながら電車を後にした。
こんな気分で電車に乗ったのは初めてだった。
それと同時に私も社会人にもうすぐなるのか……と重くて暗い気持ちになった。イヤホンから聞こえるクリープハイプがなんだかいつもより暗い曲に聞こえてきた。
しかし、こんな経験をしたのは初めてだったので、なんだかとてもドキドキした。21歳の夏休みはとてもバイト先の人との繋がりを強く感じた日が多かった。いつか今のバイト先を卒業する時が来ても、私は今のバイト先を絶対忘れないと強く思っている。