私が受験の時に、キン肉マンスタンプラリーをして第1志望に受かった話
この前の三連休はほとんど外には出ず、部屋で課題のレポートをやっていた。三連休最終日。時刻は午後7時を5分過ぎた頃。お腹が空いたので私は、ずっと気になっていたピザやらサラダやらがある洒落た飲食店へ向かった。
その飲食店の前には超有名予備校河合塾があった。東京のビル街の中にあるその予備校の壁には某有名国立大学の名前、医学部合格!の文字がズラズラ並び、そのガラスの間からは最後のセンター試験を目前に控えた受験生たちが、私の空腹に悶え、ヨダレを垂らしているアホ面など目もくれずに必死に参考書に向かって勉強をしていた。
ああ、私も去年は受験生だったんだ……。
2019年1月31日。
私はセンター試験を終え、いよいよ一般試験を目前に控えていた。
私は高校1年生、2年生の2年間、皆が必死に勉強をしている時に、休日は昼過ぎまで寝て、ニコニコ動画のよく分からない混沌とした動画を漁り、片思いしている男の子のことで喜怒哀楽し……という生活をダラダラ送ってきてしまった。
そのため、成績は底辺の底辺。こりゃいかん!と勉学に取り組み始めたのは高3の春から。もう皆はとっくにスタートダッシュを切ってラストの1年に発破をかけてるのに……。
私は結局、就職率が良くて、図書館司書の資格も取れる都内の短大を一般受験することにした。しかし、当時の私は短大も甘く見れないような絶望的な成績であった……。
その日は受験のために東京の某ビジネスホテルに母と泊まりに来ていた。しかし私はもう第1志望には合格出来ないであろうと薄々感じていた。自分が完全に悪いのに、2年間のブランクのせいで自信がなくなってしまい、東京へ向かう電車の中でも不合格になる恐怖で胸が押しつぶされそうだった。2回言う、これは完全に自分が悪い。それでも何回も開いた英単語帳を再び開いた。受験生御用達、サンボマスターをイヤホンで聞いてても、不安でいっぱいの私は彼らの魂の叫びのような歌声を聞いて、こんな私のために一生懸命喉を使ってくれてるのかぁ……となぜかサンボマスターに申し訳なくなった。今思うと、世界はその時の私をアホと呼ぶんだぜという感じだ。
受験当日、駅の改札をくぐって受験校の最寄り駅に向かうというその時。みどりの窓口の前のパンフレットがずらりと並ぶ所に、スタンプラリーの台紙が置いてあった。その時期、JRではキン肉マンスタンプラリーを実施していたのである。キン肉マンがこちらを見て「屁のツッパリはいらんですよ!」とこちらを見ていた。私が小学校の時からスカパーで見ていたキン肉マン。昔、「よゐことキン消し」というDVDを弟と母と見ていたあの時間。17の誕生日の時に弟がくれたキン肉スグルとロビンがマッスルドッキングをしてしている姿のキン消し……。私の頭の中を数々のキン肉マンに関する思い出が駆け巡ってきた。その時私は、
「もう、この1年やれることはやったし、今日から受験で色々な駅に行けるから、スタンプを集めよう!」
と、受験頑張ろう!よりも何故かスタンプラリーを気ままに集めよう!という気持ちになってしまった。
しかし、これが、悲愴的になりやすい私に絶大なリラックス効果をもたらしたのである。
というか、そもそも私にはA判定確実の絶対受かる滑り止めの地元のいい短大もあるではないか!!そこには行けるんだし、今日は自分の出来る力を出し切ろう!
私は、いつも悲愴的になるのに何故この時はこんなにもポジティブシンキングになれたのかが分からない。渋谷駅に着き、ナチグロンのなんともいえない表情がまた良かったなあ。門をくぐり教室に向かう。脳内ミュージックは「キン肉マンGofight!」私は試験会場というリングにたどり着きそのまま1年間やってきた全てをぶつけてきた。
合格発表日、携帯で志望大のホームページへ。そして自分の受験番号を入れる。すると、
合格の文字……!!
嬉しかったな。とりあえず自分の緊張を解してくれたキン肉マンには感謝したい。しかも私は短大を3つ受けたのだが、2つ合格し、1つは補欠合格であった。(後に繰り上げ合格の電話が来たが)難関大学を受けている人物からしたら私の体験なんてちっぽけなことかもしれないが、それでもやはり1年間はSNSを辞め、ずっと勉強を頑張ってきたから達成感があったのである。
しかし、後日滑り止めで受けて、絶対にここに通うことになるだろうと思っていた学校からうす〜い封筒が届いた。
私は、絶対受かると思ってセンター利用で出した滑り止めの短大に落ちた。1番行きたかった所に行けたから良いけれど少し複雑な気持ちになった。
ほんと人生何があるか分からない……。もしあの時リラックスして問題を解けていなかったら…………。
これが私の人生で初めての短大受験の話。
今は、推薦で四年制大学に編入学するという目標に向かって小論文やら面接やらの勉強に励んでいる。あの時怠けていて痛い目を見たので、怠けそうになったら自分を呪いのローラーにかける想像をして、自分に喝を入れていこうと思う。
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