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[コラム 8] 曽呂利新左衛門と豊臣秀吉のおはなし

 お堅い話が続き、食傷気味の方も多いことでしょう。
 それで、箸休めの時間に致しましょう。

でも上の指数関数の図を見て、余計に頭が痛くなったりして…。それで、図は見ないようにして目は下へどうぞ。

 さて、さて、ときは戦国時代。曽(そ)呂(ろ)利(り)新左(しんざ)衛門(えもん)と豊臣(とよとみ)秀(ひで)吉(よし)のおはなし。

曽呂利は堺に生まれ、刀の鞘師(さやし)をしていたが、後に豊臣秀吉のお伽(とぎ)衆(しゅう)になった。

お伽衆というのは殿様に軽口、頓智、滑稽話をする人たちのことで、新左衛門は話術に長じ、森羅万象にわたる豊富な知識を持っていた。

ある時、秀吉から褒美をもらう際、1日目は米粒ひとつ、2日目はふた粒と、100日までの約束でもらうことにしたそうだ。

やがて秀吉はその膨大な量になることに気付き困り果てた。それで秀吉は別の褒美に変えてもらうことにし、新左衛門は首を刎ねられることはなかったという。

実はこの話、「チェス盤の法則」と呼ばれるもので、チェス盤(縦横8マスで、全部で64マスある)を発明した男が王様に献呈したところ、王様は大喜びして男に希望の褒美を与えると言った。そこでこの男は、チェス盤の最初のマス目に米をひと粒、2番目のマス目にふた粒、6番目のマス目には倍の4粒、という具合に米粒を置いていき、その合計を賜りたいと申し出た。

王様はそれぐらいなら、たやすいことだと承知したが、実際にやってみると大変なことになる。最終的には米粒の数は、2の64乗引く1粒となり、1.84×10の19乗粒になる。米1粒は0.022グラムだから、このときの重さは、4×10の11乗トンとなり、もはやとんでもない量になる。騙(だま)されたことを知った王様はこの男の首を刎(は)ねてしまったそうだ。

 これは指数関数的増大の恐ろしさをまざまざと示した逸話だが、マス目の半分の32マス目を越えると、その後の数字は手のつけられないほどに巨大化することにある。

 人工知能の能力はこの指数関数的に増大し、シンギュラリティ―(人工知能爆発)はこの説に基づく。
                           つづく

[コラム 9] 改めてそばにいるコンピュータについて考える
 ヒトとコンピュータとの良好な関係とは、いったいどういうことなのだろうか…。

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