バルブ期の風俗嬢たちの心意気
私はバブル崩壊後に風俗に足を踏み入れたため、バブル期を生で経験したことはない。
だけど、当時、バブル期の吉原を経験した姐さんが店には多く存在していた。
姐さんたちの体験談はまるで夢物語のようだった。
帰りのチップでお客様から束の現金をもらったやら、1日の稼ぎが、当時私が稼いでいた金額より数倍の額だったとか・・・。
正直、聞いていても現実味がなかったのを覚えている。
ただ、彼女らはそれにあぐらをかいていたわけではない。
お客様からそれだけの額を頂くだけの細やかな努力もしていた。
その名残があってか、姐さんたちにはよくあれやこれやと教え込まれた。
今ではそんなことをしてる子はあまり見かけないけど、よく姐さんに言われたのは身なりに関してのこと。
安い化粧品を使わない!
ケーキファンデーションの底が少しでも見えたら新しいのに買い替える!
仕事を終えたら、どんなに時間がなくても必ずお化粧直ししてから、次のお客様を接客すること。
出勤時は必ずブランド物のバッグを使用する。
安っぽいものを身に着けないなどなど・・・。
これらはすべて
「お客様に夢を見せる仕事だからこそ、お客様に見合う見えを飾るのも大事。」
とよく姐さんたちは言っていた。
お客様は安いお金を出して遊んでいるわけではない。
だからこそ、常にお客様に隙を見せずに夢をみせるための努力をしなさいってことなのだ。
そう考えると、今の風俗と当時の風俗ではプロ意識が違っていたんだと思う。
もともとブランド物に興味を持たなかった私を見て、姐さんたちがこれを身につけなさいと、使っていないヴィトンやシャネルのバッグプレゼントしてくれたが、結局何度しか使わなかったのは、今でも申し訳なく思っている。
ただ、当時プレゼントしていただいたバッグたちは今も私の家に思い出として洋服ダンスの上に置かれている。
このバッグたちを見るたびに、あの頃よくしてくれた姐さんたちの事を思い出し、幸せであることを私は願っている。
元ストリッパー&振付師の観月真子こと藤倉瑞城です。