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外資系企業における採用のオハナシ
仕事で採用に関わる事、けっこうあります。
外資系企業のほとんどは公募しません。たいてい専門の人材紹介会社(リクルーター)かヘッドハンターを通して人を探します。
リクルーターには、エグゼクティブ専門や金融専門、技術者専門といったところがあります。会社はそこと契約して人を探してもらう。(Linkedinなどから、直接候補となる人にアプローチかける企業もありますが、私見ではそうは多くない印象)
エージェントは転職希望者と面談し、経歴やスキル、人格や方向性、本人の希望などを確認しています。
会社側は募集するポジションに必要なスキルや経歴、好ましいとするタイプなどをエージェントに伝えてあるので、そこでまずスクリーニングが行われ、そこからいろんな会社に候補者としてレジメが送られるというプロセス。
転職サイトの宣伝、最近増えていますが、私の知る限り、外資系企業で転職サイトを使っているところはありませんでした。ほぼ全部、エージェントに依頼していました。
個人的に、転職って奴隷市場の競りだと思ってます。
わかってる。例え方、とってもよくない。でも、それがいちばんあてはまってると思っています。
リクルーターもヘッドハンターも人を売るのが仕事。候補者をいかにうまく競りにかけるかが仕事です。
候補者はそれまでの経歴と実績を掲げて競りにかかり、企業側は用意するポジションと雇用条件(もちろん年収含)で競り落としにかかる。
奴隷市場との大きな違いは、候補者側にも選択権があるというところ。
面接で断る人、雇用条件で納得がいかなくて断る人はもちろんいます。
もちろん、会社側も「採用には至りませんでした」ってあっさり断ってきます。
そのあたり、ビジネスマッチングって感じ。
秘書の立場で採用のどこに関わるのかというと、エージェント(リクルーターやヘッドハンター)と直接連絡を取り、採用面談のセッティングなどを行うのは、採用する部門の人間が直接やるケースが多いというのが現状があります。
人事が関わってくるのは最終ラウンドで、それまでは採用する部署の仕事。
って事で、がんがん送られてくるレジメ(英語日本語)を見る事になります。
さらに、面談した人達の評価も管理するので当然見ます。時には、面談した人(たいていは上司)から話を聞く事もあり。
それでしみじみと感じたのは、みんな、すごーーーーーくよく見てるな、という事です。
面談は30分とか1時間とか、その程度の時間なわけですが、いやはや、それでもここまでわかるんかい! くらい彼ら、見てます。
レジメに書いてあるのは表看板なわけで、じゃあその経験に見合った知識や経験が本当に積まれているのか、そこから何を学び、さらに何を積もうと努力しているのか、資質と方向性、どこを目指して仕事をしているのか、などなど、紙ぺら数枚じゃわからない事を面談時間で見極めています。
さらに、その人の人間性。ここ、かなり重要。。
その部分が理由で採用に至らなかった人達に関するコメントは概ね、失礼な態度、上から目線な言動、きれいな言葉で飾ってはいるが中身がすかすか、自信満々だがそれに見合うものはない、などでした。
えー、面談でそんな態度取る人いるの? と思っていたら、「いるよ」とかつての上司が言っておりました。
あともうひとつは、本人は経験と実績をしっかり積んできたと思っていても、大きな視点からみると全然まだまだよって事がよくあります。ぶっちゃけ、俺すげぇ!はまったく通用しない。いかに煌びやかな経歴しょってても、そこはかなりシビア。謙虚な態度と自分への客観的な視点は大事。
業界に関係なくどこの企業も、きちんとした態度、誠実な人柄、向上心と向学心、前のめりになりすぎない自己満足になっていないまっとうなやる気、そして嘘のない言葉を重視しているように思います。
たまに、「うちには条件あわなかったけれど、あの人ならきっといい所に決まると思う」という言葉を聞く事もあります。
で、私のような立場の人間は、対面の面談の場合、候補者を会議室まで案内する役割を担う事が多くあります。
はっきり言うけど、そこですでにわかる事はやまほどある。
我々、たかが秘書、たかがアシスタントです。あらかさま、わかりやすく軽んじた態度を取る人、わりと多い。
例えば挨拶しない。飲み物をだしても、座ったままスマホいじってる人、などなど。
自分からそういう事をいちいち上司に言う事はないけれど、聞かれればそりゃあ言います。そんでもって、たいていの上司は聞いてきます。
以前、とある候補者について上司から「君の印象を聞きたい」と尋ねられた時、「明るくて元気な人とは思うが、フレンドリーに見える態度には、意味不明な自信と高い自己肯定感を感じる」と答えた事があります。
どこからそう感じたの? と聞かれたので、「相手はまだ二十代、いくら秘書とはいえ、あきらかにかなり年上の私に、初対面でいきなりカジュアルに話しかけて会話してくるのは、よほどに自信があるか、あるいは無礼な人間かのどちらかです」と答えました。ちなみに後日、これはわりと的確な表現だった事が判明。
会社に来てもらって、テストみたいな事をしてもらう事もあります。一度、それで使ったペンをうっかり持って帰ってしまった候補者がいました。
テストが終わり、お見送りした後しばし、いきなりまた受付から電話がかかってきたのでなんぞ?と思ったら、はぁはぁぜぃぜぃしながら、「すみません!これ、間違って持ってきちゃいました!」って返しにきてくれた。
それもちゃんと上司に報告しました。その方は無事、次のプロセスに進みました。
私の意見が採用に直接影響したとは思っていません。ただ、そういう所で何気なく見える言動、ちゃんと面談する人達も見ているって事です。
外資系企業の採用、面談したのにいつまでも結果がこない、なんてこともわりとあったりします。個人的には、結局結果来なかったよ。。。って所もありました。ちなみに、エージェントは何度も確認してくれていたようですが、結局音沙汰なし。
あと、面談行って一時間以上待たされた所もあります。後で聞いたら、同じように待たされた人が他にもいて、怒って面談受けずに帰っちゃった人もいたそうです。その会社、そういう事普通にする所だったらしい。
まぁ、そういう所は採用されなくてよかったって考えた方がいいと思われ。
ちなみに音沙汰なしの会社にはいくつか有名な大手企業もありまして。最近現場の人から、そこは、とりあえず現時点での採用はないけれど、常時面談しており、この人いいなと思ったらホールドしているという話を聞きました。
こっちにとって、ホールドじゃなくて放置だし、さっさと別に行くわって感じなんだけど、それはあまり考えていないらしい(実際、忘れた頃になって連絡してきた企業もありました)。
あと、採用決定はしたけれど、その後放置ってところもたまにあるようで。採用決まったけどその後一年、入社日が決まらなかったって話も聞いた事があります。結局本当に入社したのかは知らず。どうなったのかなぁ。
あまり知られていないようですが、外資金融は採用にものすごく時間をかけます(日本の金融業界については知らないのですみません)。
面接数十回に及ぶ事もあるし、一年くらいかけて面接するなんてこともあります。面談は日本、本国(本社)、他の外国のオフィスともやるので、必然回数は増える。ポジションによっても変わります。
また、採用が決まったらバックグランドチェックというものがありまして、身元調査がはいります。
採用が決まっても入社までに数カ月から一年単位で、あいだをあけなければならないので、ガーデンリーブというもの(競業避止義務)というのがあったりします。
転職先から就職支度金が用意される事もあります(ポジションによってはかなり高額になる)。
最近は、レジメを見て、なんとなくこういう感じの人だろうなとある程度わかるようになりました。
私ごときでわかるんだから、ものすごい数面談してきた上司やら、人事の人達やら、エージェントの人たちやら、そりゃもう慧眼をお持ちの事でしょう。
卒業した大学からこれまで働いた会社の名前見て、こんな感じの人だろうなってわかっちゃうってなんかすごいですが、人って、所属した場所の環境や色に染まるものなのだろうと思います。
最近、採用される人を見ていて感じるのは、最後に残るのは人柄の良い人なのだなという事。
良い人柄は真面目な就労態度に繋がり、まっとうな向学心と向上心に繋がり、好ましいコミュニケーション能力に繋がり、謙虚さと常識的なマナーがきちんとしている事に繋がってきます。
たまーに未だ、俺すげぇぇぇぇぇ! な人に遭遇する事がありますが、別の記事にも書いたけれど、世の中、ガチで本気でびっくりするくらい文字通りすごい人はいるので、自前の俺すげぇぇぇぇぇ! は、自分の浅はかさと愚かさを露呈している事と自覚したほうがいい。
あと、大手有名企業で働いている事に満足して、その名前によりかかっている人も未だ見かけますが、それもちゃんと面談する人は見抜いています。
業界はとっても狭い、といろんなエージェントの方、人事の方が言っておられました。
どんな業界でも、その人と成り、仕事ぶりなど、思わぬところから聞こえてきますし、知られています。ほんっとにいろいろ、恐ろしいくらいわかっちゃう。
以前ヘッドハンターのひとりが、「良い人である事は最低にして最大の条件で、一番大事な事ですよ」と言っておられました。