地頭力とは?地頭の鍛え方について解説します

昨今、AIや人工知能の進歩により、新しい産業やサービスが生まれ人々の生活はより豊かになり、働き方も機械的なものから人間らしいものになると考えられています。またこれに伴い、新たな仕事の分野が創出されることも期待されています。
一方で、単純作業などの業務が効率化され、今後20年以内には日本の労働人口の49%の仕事がなくなると予測されています。
このような状況の中で、AIや人工知能に代替されない思考や発想を持つ人材の重要性が増しており、その傾向が今後さらに強くなっていくと見込まれます。
そこで今回は、そのような人材に求められる「地頭力」についてその意味や要素、鍛え方などを説明します。


なぜこの記事を紹介するのか

私がこと記事を紹介する理由は2つあります。

地頭力をつけることでより自分らしい生き方をすることができる
他人軸ではなく自分軸でキャリアやプライベートを過ごすことができる

地頭力をつけることでより自分らしい生き方をすることができる

この記事を読むことで、地頭力を身につけるメリットを学べます。VUCAの時代において、自分で考え、判断し、行動するために必要な能力であることを理解できます。

AIや人工知能が進歩し、より物事が自動化されるからこそ、自分で頭を使って考えることの大切さを教えてくれるためです。

他人軸ではなく自分軸でキャリアやプライベートを過ごすことができる

地頭力を身につけることで、他人の基準ではなく、自分の基準で生きることができます。他人の基準で生きることは、誰かに判断を委ねた生き方になりがちです。しかし、自分の頭で深く考えて判断することで、判断の基準は自分自身に向くようになります。

この記事の筆者について

この記事の筆者は細谷功さんで、1964年神奈川県に生まれました。東京大学卒業後、株式会社東芝を経て、現在はビジネスコンサルタントをされています。著書として、「地頭力を鍛える 問題解決に活かす『フェルミ推定』」を出版されています。

次の章では「地頭力」の意味や鍛え方について説明しています。

地頭力とは

地頭力とは「限られた情報の中で推論を行い、問題や法則を見出す」能力であり、この能力の中心は「結論から・全体から・単純に考える力」となります。

結論から
全体から
単純に

「結論から」とは限られた情報・時間で最善の答えを導き出す力のことを指しており、仮説思考力を呼ばれるものです。

「全体から」とは3CやSWOT分析を用いて漏れや盲点を見つけ出す力のことを指しており、フレームワーク思考力と呼ばれています。

「単純に」とは、複雑な事象を具体的かつシンプルに考える力のことであり、抽象化思考力と呼ばれます。

上記の定義から、地頭力を身につけることで「ある事象において、何が問題なのか」を発見できるようになります。

地頭力の構成要素

知的能力には「知識力」「考える力」「対人完成力」の3つがあり、地頭力は「考える力」に該当します。

地頭力の構成要素


また、地頭力の基礎は「知的好奇心」「論理的思考力」「直感力」であり、その上位に「仮説思考力」「フレークワーク思考力」「抽象化思考力」が存在します。

知的好奇心

知的好奇心とは地頭力の基礎であり、問題発見の原動力となる要素です。地頭力を養うためには、従来の学校の教育のように知識を吸収だけではなく、現状で把握できている情報を一度疑い、能動的に問題を探す必要があります。

また、知的好奇心の中でも、問題や法則を見つけるために必要な「why型」の知的好奇心(なぜそうなったのか)が必要になります。また「why型」の知的好奇心は常識や既存の仕組みを疑うことによって向上します。

論理的思考力

論理的思考力とは、ロジカルシンキングとも呼ばれ、個人の知識や経験に依存しない客観的かつ一貫性のある思考のことを指します。
主に相手や第三者に経緯や考えを説明する際に用いられます。

論理的思考力は地頭力の中心である、仮説思考・フレームワーク思考・抽象化思考において、さまざまなアイディアや具体的な事例を列挙した後に理論として一般化する際に必要となります。大きな間違いや思い込みがないように考える力であるため、「守りの思考力」とも言えます。

直感力

直感力とは個人の知識や経験に依拠した創造的な思考です。いわゆるひらめきとも呼びます。
今のビジネスシーンでは、個人の経験や知識を活かして第三者と協力しながら成果を出す必要があり、その中で説得や問題解決のために利用する論理的思考力が特に重要視されることが多いです。

しかし、直感力も仮説思考・フレームワーク思考・抽象化思考を中心とする地頭力を基礎要素として、論理的思考力とセットで獲得すべき力だと考えられています。

また直感力は創造的なアイディアや成果を生み出すことに優れているため、論理的思考力と掛け合わせれば、仮説思考・フレームワーク思考・抽象化思考の質を高めることができます。

論理的思考力が「守りの思考力」である一方で、直感力は「攻めの思考力」と言えます。

仮説思考力

仮説思考力とは限られた情報・時間の中でも問題解決や目的達成のために、仮の答え(仮説)を出した上で考えを進める力です。
仮説思考は地頭力の中心要素の1つであり、主に不確実性の高い状況で、スピードを意識しながら成果を出す場面で役に立つ思考です。

仮説思考は問題の答えを出すために、正確なアウトプットを求める完璧主義とは真逆で、20点の出来でも全体像を掴みながら仮の答えを出します。

具体的には、直感力を使って、コンセプトを体現できる機能やデザインの仮説を立てた後に、論理的思考力を用いて試作品の問題を分析、そしてより良い製品開発に繋げるイメージです。

フレームワーク思考力

フレームワーク思考力とは、3C・SWOT分析をはじめとした思考の型を用いて、思考の偏りやクセを矯正する力です。
フレームワーク思考は地頭力の中心要素の1つであり、型を使ってアイディアを出し、思考することで、個人の経験や知識によって生まれたバイアスを取り除く働きがあります。

つまり、フレームワーク思考力があれば、個人の経験や思考の偏り・クセに基づいた思考から抜け出し、思考の死角にまで注目して物事の全体が把握できるようになります。

抽象化思考力

抽象化思考力とは具体的な事象を単純に捉え、理論化・法則化する力です。
前述した3C・SWOT分析はまさに抽象化思考力を用いて生み出されています。

一方、抽象化に対して、3C・SWOT分析で用いられる会社名や顧客ニーズをあげる思考(理論の実践)は具体化思考と呼ばれます。
この抽象化思考と具体化思考との往復によって、収集される情報とそれに伴う解釈や理論化・一般化の量が増え、結果的に知的能力が拡大すると言われています。

地頭の鍛え方・ポイント

地頭と聞くと、もともと生まれ持った能力だと思う人が多いと思いますが、そうではありません。地頭の構成要素を1つずつ、特に連動されて鍛えることで、着実に鍛えられます。そこでこの章では、その構成要素と地頭の鍛え方について説明します。

知的好奇心を持つ

自分の興味のある分野や仕事で携わっている領域の情報に対してWhy型の好奇心(なぜそうなっているのか)を持つ習慣ができれば、地頭力の基礎である知的好奇心が身につきます。その後は、知的好奇心のまま収集した情報を理論化・一般化する抽象思考に挑戦できれば、地頭力の基礎をまとめて鍛えることができます。

思考法などのインプットを行う

地頭力の中心要素を鍛える際に最も取り組みやすいことは、思考法や自分の仕事で役立つビジネスフレームワークのインプットです。思考の型を使いこなせるようになれば、思い込みや思考の歪みが矯正され、地頭力の基礎要素である論理的思考力も底上げされます。
また思考の型は関係者に情報や意見を伝えやすくする効果もあるため、アウトプットの機会も増やしたい方にもおすすめです。

アウトプットの機会を作る

思考の型をインプットできたら、アウトプットの機会を作りましょう。日々の業務に追われて機会を設けることが難しい場合は、週次や月次のミーティング、日常生活での会話など限られた時間で少しずつアウトプットの機会を増やしていきます。自分の意見やアイディアをアウトプットしたら、相手の反応や直接のフィードバックを介してアウトプットの精度を高めることをおすすめします

自己分析を行い、段階的にトレーニングをする

意見やアイディアのアウトプットをする中で、相手の反応やアウトプットに至るまでの思考・行動を分析し続けると、地頭力の構成要素で能力が足りない要素が把握できます。
地頭力は知識力と比較して経験や知識が問われないと言われていますが、一朝一夕で鍛えられるものではありません。
これらの地頭力を鍛え始めたいと考えられている方は、まず「基礎要素の直感力」「論理的思考力」から中心要素へ順に鍛えることがおすすめです。

感想と共感

地頭力とはソフトスキルに位置付けられるもので、社会人になって、最も基礎的で大切な能力だと感じています。

特に「論理的思考力」は、第三者にコミュニケーションする際に、必要になってくる能力であり、この力を身につけることで相手との信頼感も変わってきます。

これらの能力を身につけるにはやはり以下の2つの心がけが必要だと思っています。

まず、手を動かしてアウトプットをすること
アウトプットを習慣化させ、毎日続けること

手を動かしてアウトプットをすること

まず、手を動かして取り組んでみることが大切だと思っています。地頭力について理解し、具体的に何をするのか明確になっても、実践しなければ意味はありません。まずは頭で考えるよりも手を動かして、アプトプットをしてみる、初めは思うようにいかず嫌になるかもしれないですが、このアウトプットを続けることでより質の高いアウトプットを出すことができ、結果として地頭力がつくのではないでしょうか。

アウトプットを習慣化させ、毎日続けること

地頭力を鍛える具体的な実施方法について説明しましたが、この能力を自分のものにするには、毎日続けてアウトプットを行うことが大切だと思います。毎日10分でも良いから続けることを意識して何事にも興味を持ち、アウトプットを行うことが大切です。
よく言われる新しい習慣を身につけるには、21日間同じ行動を根気強く繰り返すと、脳がその行動を受け入れて習慣として保存すると言われています。
まずは続けることを意識するとより地頭力がつくのではないでしょうか。

独自の観点

ここでは地頭力のメリットについて説明してきましたが、身につける時の注意点について考察していきます。
私の考える注意点は以下2つです。

自分の考えに固執してしまい、他人の意見を聞き入れにくくする。
考えから行動までの時間がかかりすぎてしまう

自分の考えに固執してしまい、他人の意見を聞き入れにくくする。

確かに自分で考え、判断し、行動することは必要ですが、その判断が正しいのかは正直どうか分からないです。
考えを自分の中で深く考えているからこそ、その考えに縛られてしまい、考えが凝り固まったり、人の意見を聞けなくなってしまうことも多々あると思います。地頭力を鍛えつつも人の意見に素直に聞いて、実施する素直な気持ちも大切です。

考えから行動までの時間がかかりすぎてしまう

地頭力を鍛えると、物事を深く考える際に、正しいかどうかの判断を求められる場面が増えると思います。
例えば、〇〇を勧めるときに上司に相談すべきなのか、今日は食べすぎたから胃を休めるべきなのかなど、小さいことから大きいことまで判断に迷うことが多いはずです。
その判断に時間をかけすぎてしまい、行動するまでに時間がかかりすぎてしまい、結局行動できなかったこともあり得ます。
じっくり時間をかけて考えることも必要ですが、その場面に合わせながら地頭力を身につけていくことが大切です。

まとめ

  • 地頭力とは「限られた情報の中で推論を行い、問題や法則を見出す」能力であり、この能力を身につけることで、自分軸でキャリアやプライベートを過ごすことができます。

  • この能力は「結論から・全体から・単純に考える力」で構成されており、仮説思考力・フレームワーク思考力・抽象化思考力と呼ばれる

  • 地頭力を身につけるためには、「知的好奇心」「思考などのインプット」「アウトプットの機会を作り」「自己分析」を行う必要がある。

  • 上記を取り組むためには「手を動かすこと」「アウトプットを習慣化させて、毎日行うこと」を意識して取り組む。

  • 注意点として、自分の考えに固執してしまい、他人の意見を聞き入れにくくなったり、考えから行動までの時間がかかりすぎてしまうことがあるため、素直な気持ちで取り組むことが必要。

是非意識して取り組んでいただければと思います。


いいなと思ったら応援しよう!