間借り営業について
今日は昨日話していた通り、サウナサンの間借り営業について綴っていきたいと思います。記憶を頼りに、間借り営業をさせていただいた身だからお伝えできることを一生懸命書きたいと思いますので、長尺になるかもしれませんがよろしくお願いします。
間借り営業をするということについて
まず、小見出しにも書いた通り、”間借り営業をさせてもらう”ということについて書き記しておきたいと思います。飲食業界(といっても、私も年数は浅いのですが…)において、間借り営業はハードルが高いということを知っていただきたいです。というのも、飲食業界は衛生面に非常に気を遣います。自身の店舗だけでも仕入れ先や食料の保管方法、洗浄等々安心と安全をお届けするために相当な気をつかっています。それだけ気にしているのに、自社のキッチンに他をいれることほどリスク(二次汚染等々)なことはないんですよね。。。決して簡単ではなかったことなのに、人手が足りなかったという理由だったとしても、実際にキッチンの中に入っている方々からは、快く承諾するにはハードルが高かったのではないかと推察します。それでも、私たちが事前に打ち合わせに伺った際には、スタッフさんがわざわざ引き継ぎのためだけに勤務先に足を運んでいただき、丁寧にキッチンの使い方やダウン(営業後の清掃)等々、細かく教えてくださりました。間借り営業をさせてもらう以前から、準備を丁寧にして下さったことに信頼と感謝でいっぱいでした。
サウナサンの営業までにやったこと
私たちはこれまで、スパイスカレーを主に料理提供をさせていただいていました(特殊なケータリングを除く)。しかし、今回は老舗サウナ施設を楽しみにこられるお客様に料理提供をさせていただくということで、スパイスカレー1本では難しいのではないかと事前に夫と話し合って考えていました。サウナの後にスパイスカレーを食べると美味ことは間違いないのですが、サウナサンの食堂を楽しみにしているお客様にとってはご飯と味噌汁の付いている定食を欲しているのではないかと感じたのです。そこを考慮し、間借り営業日限定で、チエノワサンランチを提供させていただくことになりました。サウナサン自慢のお味噌汁と日替り小鉢も付いてくるということに私自身も心強かったです。
いざ、サウナサンへ!!!
憧れのサウナサン。その世界観を壊してはいけないと、これまでにないほどの緊張を感じていました。いつもの入り口とは違い、従業員通用口から荷入れをすることにもドキドキしましたが、そこからは、スタッフのみなさんが何人も手伝ってくださり、少しずつ”おかえりなさい”の雰囲気を感じる余裕を持つことができました。昼の入れ替わりになるキッチンスタッフさんや一緒の時間帯にサポートしてくださるホールスタッフさんも私の緊張を感じ取り、優しい声をかけてくれました。サウナサンの良さの一つである、スタッフさんの愛と優しさを改めて感じた瞬間でした。
サウナサンの食堂とキッチン
サウナサンの食堂はベルが優しいです。フランチャイズの飲食店の呼び鈴のような高らかなものではなく、なんだか優しい呼び鈴なんですね。ウーバーの呼び鈴に敏感になっている私にとっては、なんて優しい音なんだと思ってしまいました。そして、従業員さんのお人柄も相まって食堂はあったかい雰囲気が保たれています。しかし、それだけではなく、メニュー構成にも優しさがあることに今回、サウナサンの食堂に入って気づくことができました。昨今、飲食店もロスの問題や利益の面から食堂から専門料理に絞った営業形態が主流になりつつある中で、サウナサンは毎日サンランチに日替り小鉢を選ぶことができます。専門料理店はそれはそれで良さがあるのですが、選べる良さの中には個人的に優しさを感じるんですよね。ロスの面などを考えると手間は非常にかかっていると思うのですが、それをずっと続けている食堂には安心感があります。
サウナサンの施設内の圧倒的清潔感は周知のことと思いますが、キッチンも清潔感に加え、整理整頓された機能的な作りでした。昼と夜のスタッフが入れ替わる調理場が整っているということは、スタッフ同志の意思疎通が確実にとられている証拠。ある程度の共通認識があったとしても、細かいところまで行き届かせるには、引き継ぎメモを確実に残すなど、コミュニケーションを細やかにとる必要があります。それを、食堂のスタッフみなさんで守り続けているんだろうな。
ありがとうサウナサン
8日間の間借り営業でしたが、佐世保という立地もあり、以前お世話になっていた方々にも、チエノワのスパイスカレーを食べていただけるきっかけとなりました。カレーだけでなく、やってみたかった定食スタイルを実現することができた貴重な経験となったことも嬉しかったです。初めて複数メニューを提供されている食堂での間借りをさせていただいたおかげで、本当に新たな学びがたくさんありました。オープンが間近になっているこの時期に良い刺激をいただけたのも嬉しかったです。
しかし、どうやってこのあふれ出してしまいそうな感謝の気持ちを伝えたらいいのか。どういった方法で恩返しができるのか。考えても考えても、その答えが分からずに表現できないもどかしさ。最終日の車の中では涙として出てしまいました。
今だにその答えは、出せていないけど、ここにその時の気持ちと記憶を綴ることで、記録として残しておきたいと思います。いつまでも忘れないように。
ありがとうサウナサン。
絶対に大きな恩返しに伺いますから。
チエノワ
寺澤 智恵
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