法の分類
法とは
一人で生きていくならばルールは不要であるが、社会で生活している以上、ルールが必要である。挨拶や感謝を述べる慣習、困っている人を助ける・労わるなどの道徳や倫理もルールである。しかし、これらのルールは守らなくても非難はされど罰せられることはない。では法はどうか?法は税金などの義務を課し、果たさなければむりやり義務を履行させられる(ex.強制徴収) 、犯罪を犯し、ルールを逸脱すると処罰される(ex.刑罰など)。これが他のルールと決定的に違う部分である。社会のルールの中で法とは「強制力があるもの」を指す。
実定法と自然法
実定法は立法行為や慣習・司法判断など人間の行為によって作り出された法であり、人定法とも言われる。反対にそうでないものを自然法という。神様がいて、神様が「人を殺してはいけない」という法を作ったとすれば、それは自然法になる。「人を殺してはいけない」というルールを人間が話し合って決めた法ならば実定法である。
公法と私法
公法とは国家や公共団体が守るべきルール(ex.憲法)やその内部関係のルール(ex.行政法など)、そして公権力と私人の関係を規制(ex.刑法・訴訟法など)する法である。
私法とは私人間の関係を規制する法である。一般人の売買や賃貸借のような取引は民法が使われ、商人の商業行為としての売買や賃貸借のような取引は商法が適用される。
実体法と手続法
権利義務の発生や犯罪とそれに対する処罰などを規定した法が実体法で、その実体法で発生した権利義務などを実現していくための法が手続法である。お店の商品をお金を払わずに黙って持っていったら窃盗罪であり、窃盗罪は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金の刑になる。こういう犯罪をしたらこういう刑になる、というのを規定している刑法が実体法である。しかし、犯罪をしたからといって自動的に刑罰を受けるわけではない。「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」はかなり処罰の幅が広いからだ。そこで実際にどんな重さの刑が妥当か、などを裁判する必要がある。その裁判をするための刑事訴訟法などが手続法にあたる。
強行法規と任意法規
当事者の意思では排除できないものを強行法規(強行規定)という。逆に法の内容に関して当事者の意思や慣習を優先させることができるものを任意法規(任意規定)という。強行法規は公法に多いが、私法にも強行法規はある。たとえば民法は私法であり、婚姻に関する規定がある。婚姻できるのは戸籍上の性別が男女で年齢は男女ともに18歳など民法の規定に沿わない婚姻はできない。任意規定の例は、売買における代金の支払いは原則として物の引渡しと同時であるが、当事者がよければ後払い、先払い、分割払いなどどんな支払い方法でもかまわない。