オオウチリョー

行政書士業務のほか、資格予備校と大学で法律などを教えてます。 主に講義の補足として記事を書いていこうと思っています。

オオウチリョー

行政書士業務のほか、資格予備校と大学で法律などを教えてます。 主に講義の補足として記事を書いていこうと思っています。

最近の記事

憲法というルールは誰が守るのか?

 法学概論の法源についてのところでも触れたように、日本においては憲法がルールの最高位に位置している。これを憲法の「最高法規性」という。つまり憲法に逆らうことはできないということである。憲法の内容に矛盾するルールは一切が効力を有しないということを憲法98条1項でも明記している。  では、この憲法というルールはいったい誰が守るルールなのか?私たち自身も守らなければいけないルールなのか?ということについては、実は一般国民はこの憲法を守る義務は一切ない。憲法は国家(公権力を行使する

    • 法治主義と法の支配

      法治主義と法の支配  国家が公権力を行使するためには根拠が必要であり、その根拠が「法」である。国家は法がないと何もできないのである。そのせいで融通が利かない面もあるが、だからこそ人権が守られている面もある(ex.コロナ禍で日本においてロックダウンができないのは法がないからであるが、だからこそ経済的自由や身体の自由などの人権が保障されているともいえる)。  法治主義とは「法があればなんでもできる」という支配である。法の内容は全く関係ないのである。立法機関のさじ加減で何でもで

      • 日本の司法制度2

        訴訟の審理  家庭裁判所の審判など争いでないものに関しては非公開の裁判もできるが、争いがある裁判については公開が必要である。裁判官の前で裁判の当事者がお互いの主張をすることを対審という(民事では口頭弁論、刑事では公判という)。対審は原則として公開で行う(例外として公序良俗に反するおそれがあると認められ、裁判官全員一致で非公開にするとした場合は非公開にできるが、政治犯罪・出版に関する犯罪・基本的な人権に関する場合の対審は絶対に公開となる)。  これに対して裁判のラストである

        • 日本の司法制度1

           日本の司法制度は、最高裁判所を頂点とする司法裁判所(通常裁判所)が民事事件(ex.貸したお金を返してほしいが、相手はもらったと言い張っている場合の個人間の紛争など)・刑事事件(ex.犯罪の犯人と疑われている人の有罪・無罪などを決める手続など)・行政事件(ex.原発再稼働を許可した行政の行為に不服がある場合にその許可の取消しを住民が求めるなど)のすべてを取り扱う。 裁判所の系列  憲法において裁判所は、最高裁判所を頂点にして、その下に下級裁判所が属する。下級裁判所はさらに

          法の効力・法律用語・法の解釈

          法の効力  法は「成立→公布→施行→改廃」という一生をたどる。公布とは法律の内容を広く一般的に周知させるための公示行為で、天皇が国民の名で慣例に倣って官報で行っている。施行は法律の規定の効力を一般的に発動させ作用させることである。原則として法は特別の規定がなければ公布の日から起算して20日を経過した日から施行される。法の効力がある期間は「施行から改廃」までである。公布と施行期日の両方が法の効力発生要件であるので、公布が欠けた法は無効である。 法律用語 (1)準用する

          法の効力・法律用語・法の解釈

          法の分類

          法とは  一人で生きていくならばルールは不要であるが、社会で生活している以上、ルールが必要である。挨拶や感謝を述べる慣習、困っている人を助ける・労わるなどの道徳や倫理もルールである。しかし、これらのルールは守らなくても非難はされど罰せられることはない。では法はどうか?法は税金などの義務を課し、果たさなければむりやり義務を履行させられる(ex.強制徴収) 、犯罪を犯し、ルールを逸脱すると処罰される(ex.刑罰など)。これが他のルールと決定的に違う部分である。社会のルールの中で

          法源とは

           法源とは裁判官が裁判をする際に使う基準である。 日本においては制度上の法源と事実上の法源がある。 今の日本の法制度は明治時代にフランスやドイツの法律を輸入して整備したものである。フランスやドイツの法体系は大陸法系で裁判官の判断と議会の作る法律であれば法律の方が上だと認識してほしい。これを成文法主義という。成文法とは公的機関によって制定された文字・文章の形に表現されたものである。公的機関によって制定されていない法を不文法という。成文法は法典として条文化した存在のものをイメ