日本の司法制度2

訴訟の審理

 家庭裁判所の審判など争いでないものに関しては非公開の裁判もできるが、争いがある裁判については公開が必要である。裁判官の前で裁判の当事者がお互いの主張をすることを対審という(民事では口頭弁論、刑事では公判という)。対審は原則として公開で行う(例外として公序良俗に反するおそれがあると認められ、裁判官全員一致で非公開にするとした場合は非公開にできるが、政治犯罪・出版に関する犯罪・基本的な人権に関する場合の対審は絶対に公開となる)。

 これに対して裁判のラストである裁判所の判決は絶対に公開の法廷で行われている。おかしな判決に対して国民の目を光らせるためである。


判決・決定・命令

 判決とは、裁判所が行う重要事項に対する判断である。対審が必要で、判断には理由が付される。判決に対する不服申し立ては控訴・上告である。

 決定は、裁判所が行う付随事項に対する判断である。 必ずしも対審をする必要はない。

 命令とは、裁判官が行う付随事項に対する判断である。 必ずしも対審をする必要はない。決定・命令に対する不服申し立てを民事では抗告・再抗告、刑事では準抗告・特別抗告という。


裁判員制度

 国民の司法への参加方法はアメリカに代表する市民で有罪無罪を決める陪審制、職業裁判官と市民が裁判のすべてを決める参審制がある。日本の裁判員制はどちらかといえば、参審制に近い。

 裁判員は事件ごとに衆議院議員の選挙権を有する者の中から抽選され、意思決定は原則として裁判官3人と裁判員6人から構成する合議体の多数決で行う。裁判員は有罪・無罪の認定、刑の量定はできるが、法令の解釈はできない。

 対象事件は殺人など罰金刑より重い刑事事件のみである。罰金刑より重いので簡易裁判所ではなく、地方裁判所が第一審となる。学生や70歳以上の者、仕事上著しい損失が生じる場合、育児介護など社会生活上やむを得ない事情がある場合は辞退ができる場合があり、守秘義務から裁判員が裁判の秘密などを漏らせば6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金。また正当な理由なく出頭を拒めば十万円以下の過料が科せられる。


検察審査会

 刑事裁判にかける権利である起訴権は検察が独占しているため、不当不起訴があるかもしれない。

そこで検察官の起訴権の濫用を防止することが目的とされ、起訴権にも民意を反映させるために組織された機関である。

 衆議院議員選挙権を持つ人から抽選で11 人構成され、検察審査会が起訴議決した事件は指定弁護士が必ず起訴して公判が開かれるようになった。ゆえに、検察審査会の決定には法的拘束力がある。

刑事裁判への被害者参加制度・損害賠償制度

 殺人罪、傷害罪、強制わいせつ罪、強制性交等罪などの被害者(被害者が亡くなった場合は遺族等)が被害者参加人として、刑事裁判に参加できる。被害者参加人は裁判所の許可を得て証人や被告人に質問したり、事実又は法律の適用について意見を述べることができる。

 殺人や傷害などの刑事事件を地方裁判所が裁判しているとき、刑事事件を担当している裁判所が犯罪被害者の申し立てた民事の損害賠償請求についても刑事損害賠償命令として審理する制度もある。これは別々の裁判所で審理するより効率が良いからである。

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