法の効力・法律用語・法の解釈
法の効力
法は「成立→公布→施行→改廃」という一生をたどる。公布とは法律の内容を広く一般的に周知させるための公示行為で、天皇が国民の名で慣例に倣って官報で行っている。施行は法律の規定の効力を一般的に発動させ作用させることである。原則として法は特別の規定がなければ公布の日から起算して20日を経過した日から施行される。法の効力がある期間は「施行から改廃」までである。公布と施行期日の両方が法の効力発生要件であるので、公布が欠けた法は無効である。
法律用語
(1)準用する
法令の個々の規定がを、本来であれば適用されない他の場面に使うことである。たとえばA法20条で「Bの場合はXというルールを適用する」という条文があるとする。しかしBの場合ではなくCという場合でもこのルールを使いたい場合はA法27条「Cの場合は、20条を準用する」と規定すればCの場合についてもBと同様のルールが設定される。手続規定が3ページに渡るくらいびっちり書かれている場合はこういう表記をすることで条文がすっきりする(3ページ分省略できる)。
(2)又は・若しくは
ABとCの場合は「A若しくはB又はC」となる。大きな選択的連結の場合は「又は」を用い、小さな選択的連結の場合は「若しくは」を用いる。たとえばごはん(白米と雑穀米)とパンの選択の場合は「白米若しくは雑穀米又はパン」となる。
AかBのような単なる選択は「A又はB」となる。
(3)並びに・及び
ABとC場合は「A及びB並びにC」となる。大きな意味の連結の場合は「並びに」を用い、小さな意味の連結の場合は「及び」を用いる。たとえばコーヒーとガムシロップとサンドウィッチを注文するのであれば「コーヒー及びガムシロップ並びにサンドウィッチ」となる。
AとBのように単なる並列の場合は「A及びB」となる。
(4)推定・みなす
「AをBとみなす」という場合はAとBは同じものであり、一切の反証を許さない。「AはBと推定する」という場合は反証が可能で、AとBが違うものであるとすることができる。
(5)以上・超える
「超える」はその数値を含まず、それよりも上をいう。「以上」はその数値を含む上をいう。
(6)以下・未満
「未満」はその数値含まず、それよりも下をいう。「以下」はその数値を含む下をいう。
(7)半数以上・過半数
たとえば10人の半数以上は5人以上、過半数は半数を超えるので6人である。
(8)直ちに・速やかに・遅滞なく
最も緊急性あるのが「直ちに」であり、「直ちに→速やかに→遅滞なく」の順で緊急性が弱くなる。
法の解釈
(1)文理解釈・論理解釈
文理解釈とは、法の文言の持つ意味を明らかにする解釈である。条文の文言通りに解釈するので、「電車が通過するので、白線の内側でお待ちください」の場合はホーム側も線路側も白線の内側になってしまう。そこで論理操作を用いて整合的に解釈する方法を論理解釈という。「電車が通過するため、危ないので白線の内側で待つ」ならこの場合は「ホーム側が白線の内側」となる。
論理解釈には以下のものがある。
①拡張解釈・縮小解釈
法の文言に広義と狭義がある場合に広義の解釈をとる方法が拡大解釈で、狭義の解釈をとるのが縮小解釈である。たとえば「マンションで犬を飼うな」となっている場合、小型だろうが大型だろうがどんな犬でも飼ってはいけないのが拡大解釈で、犬にはよく吠える犬とあまり吠えない犬があるので、よく吠える犬だけ飼ってはいけないというのが縮小解釈である。
②類推解釈・反対解釈・勿論解釈
法に規定されていないが類似しているので適用するのが類推解釈で、逆に規定されていないから適用を排除するのが反対解釈である。
たとえば「マンションで犬を飼うな」となっている場合、猫も飼ってはいけないとするのが類推解釈で、規定がないから猫は飼ってもよいと解釈するのが反対解釈である。
勿論解釈は類推解釈の一種で規定されていなくても当たり前であるとして解釈することである。犬を飼ってはいけないならオオカミやライオンも飼ってはいけないのである。