海の男は納豆が食べれない
◆マリンスポーツ愛好家に納豆アレルギーが多い
夏と言えば、マリンスポーツです。
泳ぐ、乗る(サーフィン)、もぐる(ダイビング)。
楽しみ方はさまざまでしょう。
今回は、マリンスポーツ愛好家(サーファー、ダイバー)に納豆アレルギーが多いという話です。
◆納豆アレルギーとは
他の食物アレルギーに比べて、納豆アレルギーは少し変わっています。
通常のアレルギーは、食べてすぐ(約30分後)に、じんましん、体がかゆくなるくちびるがはれる、などの症状を起こします。
納豆アレルギーは、食べて12時間も後にアレルギー反応が出ます。
例えば、夜8時に納豆、卵、ニラの炒め物を食べて、
翌朝6時に症状が出ます。
また、朝、納豆、卵、ネギを食べて、
夜の9時にアレルギー反応を起こします。
食べて時間が経っているため、納豆のアレルギーとは気づきにくいのです。
症状は、じんましん、お腹が痛くなる、下痢、息が苦しい、失神するなど、ひどくなることが多いです。
また、他の大豆製品(豆腐、みそ、しょうゆ)は食べても大丈夫なのも特徴です。
◆原因はネバネバ物質
納豆アレルギーの原因は、大豆でも、納豆菌でもありません。
納豆は、ゆでた大豆と納豆菌を混ぜて発酵させて作ります。
発酵過程で作られるネバネバ物質中の「ポリガンマグルタミン酸(PGA)」が原因と考えられています。
PGAは、納豆だけでなく、食品添加物(保存料、増粘剤、うま味成分)、
調味料、スポーツ飲料にも使われています。
◆なぜ、海の男が納豆アレルギーを起こすのか?
納豆アレルギーの約8割が、マリンスポーツ愛好家という統計があります。
なぜ、サーファーやダイバーに納豆アレルギーが多いのでしょうか。
その謎を説く鍵はクラゲにあります。
納豆アレルギーの原因であるPGAは、クラゲの触手でも産生されます。
クラゲに刺されたとき、PGAを注入され、PGAを敵とみなすようになることがあります。(感作される)
そのあと納豆を食べたとき、ネバネバ物質を敵と勘違いしてアレルギー反応を起こすのです。
まれに、女性で、化粧やパックに含まれたPGAで感作されて、
納豆アレルギーを起こす人もあります。
マリンスポーツが好きな人で、じんましんなどのアレルギーを起こす人は、納豆アレルギーを疑ってはどうでしょうか。
参考文献
1)猪又直子:「クラゲ刺傷と納豆アレルギー」,MB Derma. 245: 49-54, 2016.
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