アトピー性皮膚炎には岩盤浴がいいかも
アトピー性皮膚炎の皮膚は乾燥していますが、
汗が少ないことと関係があります。
汗には基礎発汗(常に出ている微量の汗)と、
温熱発汗(暑い時に出る汗)とがありますが、
アトピー性皮膚炎では、特に基礎発汗が少ないのが特徴です。
いかに基礎発汗を増やすか。
これがアトピー性皮膚炎を克服するポイントです。
◆岩盤浴でアトピーが良くなった
岩盤浴がアトピー性皮膚炎の治療に有効なのではと思ったのは、
ある40代の患者さんに出会ってからです。
20歳ごろからアトピー性皮膚炎になり、さまざな治療をしてきたにもかかわらず全身の皮膚炎は良くなりませんでした。
あるとき、「すごく良くなりました」と来院されたので事情を尋ねてみたところ、岩盤浴に数回通ったとのことです。
周りの人はすぐに汗がダラダラ出るのに、
その患者さんは全くといっていいほど汗が出なかったそうです。
それが、20分を過ぎたころからじわっと汗が出るようになりました。
回を重ねるにつれ、汗が出やすくなり、皮膚炎もおさまってきました。
岩盤浴により基礎発汗が増したため、皮膚炎が良くなったのでしょう。
◆岩盤浴の効能
岩盤浴・溶岩浴について調べてみました。
「温めた石板から発せられる遠赤外線によって体を温める」とあり、
室温は45度前後、湿度は60~80%前後です。
富士山溶岩浴を、4週間に10回(1回60分)利用してもらうという
臨床試験がありました。
20名の人が参加した結果、
「肌のハリやつや」「目のまわりの小じわ」が改善しました。
また、肌の水分値は69.4から75.4に上昇し、
油分値も17.4から22.1に上昇しました。
基礎発汗が高まったからでしょう。
「温熱ルーム」でも同様の効果があるでしょう。
この臨床試験は、アトピー性皮膚炎の人を対象としたものではありません。
アトピー性皮膚炎では、汗をかくとかゆくなるという問題があります。
暑すぎない環境で、時間をかけてゆっくり汗をかくことが、
アトピー性皮膚炎の人の基礎発汗を高めるのによいでしょう。
参考文献
望月俊男:「温泉療法~岩盤浴など~」,アンチ・エイジング医学 5(3): 355-361, 2009
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