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足のニオイ対策は、五本指の靴下と、裏返し洗い
◆足の「臭う人」と「臭わない人」
体で臭う場所といえば、なんといっても「足」でしょう。
足からはツンと鼻をつく独特のニオイがあります。
このニオイの原因はなんでしょうか。
一言でいえば、足に住んでいる「細菌」です。
足には「コリネバクテリウム」など、独特な細菌が常に住んでおり、
汗を分解して「イソ吉草酸」という物質を作ります。
これがニオイの正体です。
「イソ吉草酸」は、わずかな量でも強いニオイを発します。
体のニオイと異なり、足のニオイに年齢差はありません。
臭う人ほど足の細菌の数が多いというデータがあります。
つまり、足の臭う人と、臭わない人との違いは、
足の「細菌の数」なのです。
足の「ニオイ対策」は、足の「細菌対策」と言えるでしょう。
◆靴下は五本指がおススメ
私が皮膚科医になりたてのころ、仕事中は口で息をしていました。
水虫やタコ、ウオノメ、イボなど、足の診察をする機会が多く、
刺激臭のため、鼻で息をすることができませんでした。
近年は事情が一転し、ニオイはほとんどしなくなりました。
抗菌靴下が普及したためと思われます。
昔は靴下は臭く、洗濯してもなかなかニオイはとれませんでした。
近年、靴下のニオイが気にならなくなったのは、
抗菌加工により、靴下で細菌が繁殖しなくなったからでしょう。
汗で皮膚が蒸れて、細菌が繁殖すると、
皮膚は白くふやけたようになります。
一番白くふやけるところは、足の指の間です。
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指の間のジメジメを防ぐには、「五本指の靴下」が有効です。
指と指の間に布が入るため、汗がこもりません。
◆裏返しに洗う裏ワザ
テレビ番組で、「靴下を裏返して洗う裏ワザ」が紹介されていました。
ニオイは主に靴下の内側に染みついているため、
裏返しにして洗うと汚れとニオイがよく落ちるとのことです。
実行してみると、実に効果的であり、文字通り「裏ワザ」と感心しました。
家に帰って、暑いからと靴下を脱いで裸足になるのはNGです。
一日過ごした足には、細菌とニオイがびっしりです。
そんな足でスリッパを履いたり、床や畳をペタペタと歩くと、
細菌とニオイが染みついてしまいます。
お風呂で足をきれいに洗ってから、裸足で過ごしましょう。
参考文献
1)久加亜由美:「体臭の多様性」, MB Derma. 309: 67-74, 2021.