見出し画像

ヘパリン類似物質でアトピー性皮膚炎を治そう

アトピー性皮膚炎の患者さんに尋ねました。
「汗をかいたら どうなりますか?」

意外な返答でした。
「おそらく かゆくなります」

これより2つのことが分かりました。
1つは、汗をかいていない。または、かこうとしていない。
1つは、汗をかくとかゆくなると思っている、です。

塩原哲夫医師は「アトピー性皮膚炎における皮膚の乾燥は、
汗をかかないからだ」
と指摘しています。

どうすれば基礎発汗(普段出ている微量の汗)を
増やすことができるのでしょうか。

◆ヘパリン類似物質クリームが基礎発汗を増やす

塩原医師の研究によると、ぬり薬で最も基礎発汗が増えたのは、
「ヘパリン類似物質クリーム」でした。

「ヘパリン類似物質」とは、知る人ぞ知る。
社会問題にまでなった「ヒルドイド」のことです。

「究極のアンチエイジングクリーム」との口コミにより、
多くの女性が美容目的で皮膚科に殺到しました。

その後、「ヒルドイドにアンチエイジングの効果はない」
「美容目的なのに健康保険を使うのは違法だ」

などのバッシングがあり、問題も下火になりました。
「ヒルドイド騒ぎ」はまったくのデマだったのでしょうか。

「火のないところに煙は立たぬ」で、
ヒルドイドには抜群の保湿力があるだけでなく、
基礎発汗を増やす働きがあります

◆ヒルドイドに4種類あり

一口にヒルドイドといっても4つの剤型があります。

①ヒルドイドソフト軟膏
②ヒルドイドクリーム
③ヒルドイドローション
④ヒルドイドフォーム

その違いは、①>②>③>④の順にべたつきます。
つまり、①はべたつき、④は水のようにさらっとしています。

塩原医師の研究では、①と②を比較して、
②を通常の3倍量ぬると基礎発汗が増えたとあります。

皮膚科によっては「ヒルドイドクリーム」を扱っていないことがあります。
その場合「ヒルドイドローション」が、それに近い剤型です。

市販薬でも「ヘパリン類似物質」を含むクリームがたくさん販売されています。

剤型やヘパリン類似物質の濃度もまちまちであり、
どれほど基礎発汗を増やすかは未知数です。

しかし、たっぷりぬれば、それなりの効果があるでしょう。

参考文献
塩原哲夫:「汗をかかないとアレルギーになる」,アレルギー 67(7): 923-926, 2018

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?