アトピーは、お肌の奥まで治しましょう
アトピー性皮膚炎で、皮膚が乾燥する原因の一つは、
基礎発汗(常に出ている微量の汗)が少ないことです。
どうして基礎発汗が低下しているのでしょうか。
真皮の炎症が関係しています。
◆汗が出ないのは、真皮の炎症が原因
皮膚は「表皮」と、その下層の「真皮」の二層構造をしています。
表皮の厚さは約0.2mmで、はがき程度の厚みです。
真皮は厚さ1~3mmです。
汗を作る工場(汗腺)は、真皮にあります。
真皮の炎症が、汗の生成を邪魔していると思われます。
また、アトピー性皮膚炎では、汗をかくとかゆくなりますが、
真皮に汗がもれるからと言われています。
汗腺で作られた汗は、細いパイプ(汗管)を通って皮膚の表面に運ばれます。
真皮の炎症でパイプが傷つくことにより、汗が漏れると考えられています。
◆真皮の炎症を抑えましょう
パイプから汗が漏れるのを防ぎ、基礎発汗を保つには、
真皮の炎症を治せばよいことになります。
皮膚炎とは、通常、「表皮の炎症」のことですが、
同時に真皮も炎症を起こしています。
ぬり薬をぬると、まず「表皮の炎症」が治まります。
見た目は治ったように見えますが、まだ真皮に炎症細胞が残っています。
たき火で燃え尽きたように見えても、
奥で火がくすぶっているようなものです。
「かくれ皮膚炎」とでも言いましょうか。
この時期に治療を中断すると、すぐにリバウンドしてしまいます。
見た目きれいになってから2週間、薬をぬり続けると、
真皮の炎症も収まります。
汗を正常化し、皮膚に潤いをもたらすためには、
お肌の奥まで治しましょう
参考文献
塩原哲夫:「汗をかかないとアレルギーになる」,アレルギー 67(7): 923-926, 2018
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