
腎臓は大丈夫? 健診結果によると・・・
50歳を過ぎると、健康診断の結果を見る目が真剣になってきます。
「B判定は、おそらく大丈夫だろう」
「脂質がC判定だが、大丈夫だろうか」
今回は「腎臓」について読み解きましょう。
◆腎臓の働き
腎臓は握りこぶしくらいの大きさの臓器で、
腰の上の背中に近いところに位置する臓器です。
全身の細胞から生じた老廃物は、血液中に排出されます。
腎臓は、血液中に漂う老廃物を尿として体の外に出す働きがあります。
糖尿病などによって腎臓の機能が落ちてくると、
血液中に老廃物がたまって大変なことになります。
腎臓の働きは「クレアチニン」と「eGFR」によって分かります。
◆クレアチニンが高い
クレアチニンは筋肉から排出される老廃物です。
クレアチニン値が高いのは、血液中の老廃物が多いということであり、
腎臓の働きが悪いことを意味しています。
クレアチニンの正常の値は施設によって異なりますが、
だいたい次の通りです。
男性:0.65~1.07
女性:0.46~0.79
クレアチニンは大きく変化するものではないため、少し高くても問題です。
男性の正常値は0.65~1.07ですが、「1.5」になることは滅多にありません。
「2.0」になったら「大変だ~」とあわてなければなりません。
では、クレアチニンが低い場合は問題ないのでしょうか。
◆クレアチニンが低い
クレアチニンは男女で正常の値が異なるのが特徴です。
その理由は、クレアチニンは筋肉の老廃物であるため、
筋肉量の多い男性の方が高くなるからです。
つまり、女性でも筋トレをして筋肉質の人はクレアチニン値は高く、
男性でも体が小さくやせている人はクレアチニン値が低くなります。
「クレアチニンが低いのは、腎臓が悪くないということで大丈夫」
と喜んでおれません。
クレアチニンが低いのは「サルコペニア」かもしれません。
「サルコペニア」とは、「サルコ(筋肉)」と「ぺニア(減少)」からなる造語で、加齢による筋肉と筋力が減ることを指します。
人体にとって筋肉は財産なので、
それが減ると体が貧乏になるようなものです。
男性のサルコペニアは、男性更年期障害の可能性があります。
クレアチニンが低いは決して喜べません。
◆eGFR
「eGFR」は何を表しているのでしょうか。
「eGFR」は、年齢と性別によって補正した腎臓の働きを示しています。
腎臓が悪いとクレアチニンは上がりますが、eGFRは下がります。
eGFRの値と、その評価です。
90以上:バンバンに健康
60~89:なんとか大丈夫
45~59:イエローカード
30~44:イエローカード2枚
15~29:レッドカード
15以下:レッドカード2枚
血糖が高いと腎臓が障害されます。
腎臓は一度壊れると元に戻らない臓器です。
甘いもの(スナック菓子、ケーキ、アイス、ジュース)をひかえましょう。

参考文献
1)堀江重郎:『LOH症候群』,角川新書,2021