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熱いコーヒーは、体も心も温める

「身体化認知学説」とは、「体の感覚が、認知に影響を与える」
という説です。

例を挙げると、「温かいコーヒーを手に持った人は、冷たいコーヒーを持った人と比べて、人を温かい人柄だと評価する」ということです。

分かりやすく言うとこうです。
温かいコーヒーを持った面接官と冷たいコーヒーを持った面接官が、
Aさんの面接をしました。

結果、温かいコーヒーを持った面接官は「Aさんは暖かい人だ」と評価し、冷たいコーヒーを持った面接官は「Aさんは冷たい人だ」と評価する
ということです。

「そんなバカな」と思いますが、いくつかの実験で検証されています。

人間には五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)があり、
触覚の一つが温度を感じる感覚です。
手で感じた温度が脳に伝わり、人物評価に影響を与えるというのです。

◆温度は心に影響を及ぼす

「温かいまなざし」とか「冷たい言葉」と言われますが、
ここで「温かい」「冷たい」とは、比喩表現です。

実際に目の温度が高いのではありませんし、
言葉を発した人の体温が低いのでもありません。

しかし、根も葉もない比喩ではなく、温度と心は密接に関係しているというのが「身体化認知学説」です。

暖かい部屋にいると、「周りはいい人ばかり、渡る世間に鬼はない」と思え、心も温かくなるでしょう。

逆に、寒い部屋にいると、「周囲は思いやりに欠けた人ばかり、非情な世の中だ」と思え、心も冷えてくるのかもしれません。

恋人と喫茶店に入ったら、たとえ夏でも「ホットコーヒー2つ」を注文し、食事は熱~いものを食べましょう。

重要な交渉は、暖かい部屋で、熱いコーヒーやお茶を飲みながらがいいでしょう。

健康にとっても温度の影響は大きく、冷えは大敵です。
「体温が1℃下がると免疫は3割下がる」と言われます。

体が冷えると心も冷えます。
体も心も温かくなりたいですね。

参考文献
佐々木光美:「表情と情動」,東京医科大学雑誌 76(2): 219-223, 2018

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