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副作用を説明するから副作用が出る 副作用は聞かない方がいい
花粉症の薬で、副作用として14人に1人眠くなるという薬があります。
その薬を「14人に1人が眠くなります」と説明して処方していました。
すると、5人に1人が「あの薬飲むと眠くなるわ」と眠気を訴えるのです。
もしやと思い、何も説明せずに処方してみました。
するとどうでしょう。
眠気を訴える人はほとんどなくなりました。
このことより「副作用を説明するから副作用が出る」という信念を持つようになりました。
◆暗示効果
医療界に「プラシーボ効果」という言葉があります。
「プラシーボ効果」とは偽薬効果ともいい、
病と関係のない成分の偽薬で病気が快方することをいいます。
「病は、気から」と言われるように、「大変良く効く薬です」と言われると、誰しも効くように思うのでしょう。
その逆も言えます。
「あまり効かないかもしれません」と言うと効かない。
「お腹が痛くなるかもしれません」と説明するとお腹が痛くなる。
催眠術の原理は「暗示」と言われますが、
人は他人の言葉に影響を受けるのでしょう。
◆説明すべきか、せざるべきか
先ほどの花粉症の薬の場合は、患者さんに注意喚起をとやったことが、
患者さんに不利益をもたらす結果になってしまいました。
とはいえど、「説明義務」は果たさなければなりません。
眠気の副作用の説明をしてなかったがために、
居眠り運転で事故をされたとなっても困ります。
どうすれば良いのか、難しいところです。
◆情報を発信する側の心得、受け取る側の心得
情報を発信する場合、どんなことに心がければよいのでしょうか。
啓蒙のためと情報発信するのですが、
結果として混乱におとしいれてしまうこともあります。
「ワクチンは危険だから打たない方が良い」という情報があります。
打たないことによるデメリットには計り知れないものがあり、
その重さは「眠くなるかもしれません」の薬の比ではありません。
いたずらに不安をあおっている怪情報と感じるのは私だけでしょうか。
全ての医療は危険と背中合わせです。
危険を知りながら、相手に「マイナスの暗示」を与える情報は言わない。
「発信しない勇気」も必要なのではと思います。
聴く側、読む側の心がけですが、
「起こってほしくないことは、聞かない、読まない」
に尽きるのではないでしょうか。
医療者を信じて「すべてお任せ」が「プラシーボ効果」が強く働くことになり、幸せにつながると思います。