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オイルでフタをすると皮膚は乾燥する
化粧水のあとに「乳液」や「クリーム」をぬるのが
スキンケアの基本と言われますが、注意点があります。
◆2種類の保湿
表皮は細胞が何層も重なっており、その最も表層が角層です。
角層は、外敵の侵入を防ぎ、水分を蒸発を遮断するバリアの
働きがあります。
角層に潤いを与える保湿に2通りあります。
細胞に潤いを与える「モイスチャー」と、
潤いが逃げないようにフタをする「エモリエント」の2つです。
一般に化粧水で角質に潤いを与え(モイスチャー)、少し油分の入ったクリームをフタをする(エモリエント)が良いとされています。
本当にそうでしょうか。
皮膚科で使われる5種類の保湿剤を検討してみましょう。
①最も油分の多いワセリン。
②少し水分が加わった油中水型のクリーム。(商品名:ヒルドイドソフト軟膏)
③さらに水分を含んだ水中油型のクリーム。(商品名:ヒルドイドクリーム)
④もっと水に近いローション。(商品名:ヒルドイドローション)
⑤水分だけのフォーム。(商品名:ヒルドイドフォーム)
水分に近い保湿剤をぬって、油分の多いワセリンでフタをする。
それが理想の保湿と思われていました。
ところが、塩原哲夫医師(杏林大学名誉教授)の研究結果は、
それに反するものでした。
◆油分が多いと逆効果
塩原哲夫医師は「アトピー性皮膚炎の乾燥は、基礎発汗(常に出ている微量の汗)が低下しているから」と指摘しています。
保湿剤と基礎発汗を調べた結果は次のようになりました。
③の水中油型クリームを大量にぬると、基礎発汗が大幅に増えました。
②の油中水型クリームでは、基礎発汗がわずかに増えました。
①のワセリンをぬると、逆に基礎発汗は低下しました。
この結果より、ワセリンなどの油分でフタをすることは、
基礎発汗を低下させることが分かります。
ヒルドイドクリームが、最も良いという結果でした。
④⑤については、実験したのか記載がないので分かりませんが、
今後、検討の余地があります。
基礎発汗は、継続的に皮膚を潤してくれる大切な機能です。
基礎発汗を守るために、皮膚に油分をぬることは最小限にしたいものです。
参考文献
塩原哲夫:「汗をかかないとアレルギーになる」,アレルギー 67(7): 923-926, 2018