合成洗剤や柔軟剤を使わない「あんしん 安全 お洗濯」
◆洗剤のニオイでかゆくなる
化学物質過敏症患者の診療に当たる小児科医、渡辺一彦医師の経験症例を紹介します。
その男児は現在12歳ですが、生後4か月でアトピー性皮膚炎になりました。
幼稚園に行くとかゆくなり、長期の休みになると症状が落ち着きます。
交通機関に乗ったり、デパートに行くとかゆくなり、せき込みます。
これはおかしいと病院に連れて行ったとき、男の子は言いました。
「洗剤が臭くてたまらない」
「僕は洗剤の臭いをかぐとかゆくなるんだ」
◆原因は合成洗剤と柔軟剤
化学物質過敏症の原因で多いのは、合成洗剤と柔軟剤です。
これらから漂う香料を吸い込むことによって、かゆみ、せき、頭痛、イライラなどの症状を起こすため、香害とも言われています。
昔は粉せっけんで洗濯をしていました。
今日、洗剤売り場に並んでいるのは、99%が合成洗剤です。
柔軟剤を使わないと衣類がパリパリになりそうで、
つい使ってしまうのでしょう。
果たして、合成洗剤と柔軟剤を使わずに洗濯ができるのでしょうか。
◆あんしん 安全 お洗濯
合成洗剤や柔軟剤を使わずとも、汚れがしっかり落ち、
ふんわりとした仕上がりが実現できる洗濯術があります。(参考文献2)
その骨子がこれです。
水40リットルに対して
・液体石けん 30g
・セスキ炭酸ソーダ 30g
・酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)30g
粉せっけんでもいいのですが、溶かすのに大変なので、
液体石けんが便利です。
液体石けんは、私は「arau.(アラウ)」を愛用しています。
他社の液体石けんを使ったところ、強い香料のニオイが残りました。
成分を見てみると「香料」の文字が。しまったーっ。
通常の洗剤についている計量カップが1杯30gです。
なぜ、「セスキ炭酸ソーダ」と「酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)」を入れるのか。
理由を知りたい人は参考文献2を参照してください。
洗たくの大きなポイントは、「お湯で洗う」ことです。
お風呂の残り湯か、水道のお湯をたらいやバケツで運びましょう。
30分ほどつけ置きをすると、より汚れが落ちます。
2回目のすすぎの時にクエン酸を小さじ1杯入れるとベストです。
洗濯ネット(小さいものをたくさん)を使って
生地を傷めないようにしましょう。
参考文献
1)渡辺一彦:「香害で社会生活を奪われた人々」,月刊保団連 1366:11-17, 2022
2)本橋ひろえ:『ナチュラルおせんたく大全』, 主婦の友社,2020