ラオスから来たこどもたち。特別養子縁組家庭のある休日
2023年7月に特別養子縁組でラオスより1歳の息子・一生を迎え、前後して6月に実子・二葉を出産。フランス人のパートナーと、家族4人でパリ在住。詳しくはこちら。
わたしたちがラオスから一生を迎えるにあたり、親身になって相談にのり、経験をシェアしてくれた夫婦フェリックス&パオラ(仮名)。彼らもラオスから養子で迎えた4才の男の子がいる。今週末は、彼らの自宅に招かれてランチだった。
もうひと組招かれていたカップルのディラン&アンリ(仮名)も、パオラたちと同時期にラオスから養子の女の子を迎えており、お知り合いになった。正確には、一度ビデオ通話で経験談を聞かせてもらう機会があったので、二度目。
ラオスからフランスに養子として迎えられる子どもは、年間4〜5人で、パリ近郊に住んでいる人となると、さらにその一部。このラオスから養子を迎えた家族が、最も共通項の多いコミュニティとなる。
一生が成長し、自分のルーツに疑問を持つことがあれば、その時に同じような経験をしている同世代の友だち・知人というのは、何かしらの支えやヒントになるかもしれない。また、親同士も真実告知やラオス再訪についてカジュアルに話し合えるのが心強いので、意識的にというか、自然に、定期的に会う機会がある。
パオラやアンリの子たちは、我が家と3才差。4才児のふたりは「ラオスから来た」ことや、「養子」だということは日常的に話されている。「誰から生まれたの?」「本当のお父さんじゃないの?」なんて質問もすでに出てくる年齢なので、どのように会話したかなどを聞かせてもらったりと、わたしたちにとっては、非常に参考になることが多い。
パオラは、息子に「ママから生まれてない」「ラオスから来た」と言うことを話せても、「養子だ」という言葉をストレートに使えないという葛藤があると話す。アンリは、反対に「養子」をタブーワードにしたくないから、と普通に使っていると言う。特に学校で意図しないところで、「養子なの?」と訊かれたりすることがあるとも聞くので、本人も意味がわかっていたほうがいいというのは一理ある。確かにアンリたちはゲイカップルなので、少なくとも片方とは養子縁組している可能性が高い。
私も周りの大人に説明するときには、「養子」という言葉を使うけれど、本人に語りかけるときには、「一生はラオスから来たよね」みたいなやんわりした言い方をする。タブーというより、1才児に使う単語としてしっくりこないからだけれど、年齢があがったら、「養子」という言葉を、わたしたちの言葉で説明したほうがいいのかもなぁ。
マイノリティという意味でいえば、一生たちは、「養子」であり、「アジア人」でもある。
アンリとフェリックスはどちらも白人男性。娘は、中国やラオスの山岳地帯に住むモン族っぽい顔立ち、要は中国人っぽい。悲しいかな、フランスでは、アジア系の外国人を揶揄するときには、中国人を意味する差別用語が頻繁に登場する。
パオラはそもそもラオス移民二世のフランス人だし、私も大人になってからではあるけれど、フランスに移住した外国人、つまり移民一世みたいなもの。自分の経験と紐付けて語ることもできるので、あまり不安視はしていないが、養子縁組家庭で、そういう人種的なエトセトラをどう扱っていくか、というのも個人的には関心がある。
結局、行き着く先は、違いを特別視せず、普通に受け入れあう社会を目指し続けるしかないんだろうなと、そんなことをぼんやりイメージしながら、フェリックスが8時間かけて用意してくれたというラムステーキをいただく。おいしい。
親たちが話す横で遊ぶ子どもたち。一生はお兄さんお姉さんと遊べて(遊んでいるつもりで)大満足だったけど、4才児ふたりからは、みそっかす扱いされていて、こちらは苦笑い。
そんな、養子縁組家庭のある休日。