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続・秋の夜長を楽しむ アロマティックな【モルドワイン】|「ハーブ&アロマ」香る暮らし

今月の「晩秋の夜長」をテーマに、アンティークバイヤーのルーシー恩田さんに寄せていただいたコラム。冷えが気になるこの頃、私も週末にトライします!

もうすぐ1年でイチバン街が輝く季節。日本ではクリスマスシーズンとか、クリスマス商戦とか「クリスマス」だけにスポットがあたりますが、本来クリスマスとはキリスト教の行事。諸外国では様々な宗教の人に考慮して、11月末のサンクスギビンクデーからクリスマスや大晦日までを「ホリデーシーズン」と呼んでいます。

この「ホリデーシーズン」は、お互いにどんな神様を信仰していようが、どんなお祈りをしていようが、関係なし。
いつもお世話になっている人にプレゼントを用意して、頻繁に会えない友人に手紙を書き、離れて暮らす家族とごちそうを囲み、日頃の感謝を身の回りの人達に伝える「愛」に溢れた季節なのです。

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映画でも「ホリデーシーズン」をテーマにしたものが、毎年公開されています。そのくらいみんな大好きな季節。

「34丁目の奇跡」や「クリスマスキャロル」は古典クリスマス映画のド定番中の定番!
何度リメイクされても変わらずに「夢を忘れた大人たち」そして「これから夢を持つ子供たち」に希望を与えてくれています。

人生って良くも悪くも「アイロニック」だから、どんな状況でも信じることが大切。

サンタクロースが存在するか、しないか? 違う違う!そんなことが問題なのではなく、誰がどう言おうと「I’ll see it, when I believe it」。きっと心で信じたときに、すべては見えてくるのです。
まだこの2つの映画を見たことがない方はぜひご覧になってみて!心がじわーっと温まりますよ。

ほかにも数えきれないほどの「クリスマス名作映画」がありますが、やはり私がイチバン好きなのは「ラブアクチュアリー」。2003年に公開された、クリスマスを題材にしたロマンティックコメディです。最近の映画だと思っていたら、もう17年前の映画だなんて、、、
ぎゃー!時が過ぎるのって早いのね。

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この映画のオープニングシーンは、クリスマス時期のヒースロー空港。登場するのは有名俳優ではなく、実際に空港の到着ゲートにいる一般の人たち。

久しぶりに合う友人、出張などでしばし離れていた家族、遠くに住む恋人達。彼らの「なんてことのない」再会のシーンですが、とっても感動的なのです。そこにヒュー・グラントのナレーションが以下のように流れます。(ちょっと和訳だとクサいかな)

「世の中に嫌気がさしたらヒースロー空港の到着ゲートへ。人は言う ‘現代は憎しみと欲だけ’と。そうだろうか?ここには‘愛’の光景がある。崇高な‘愛’ではなくニュース性もない、父と子、母と子、夫と妻、恋人同士、懐かしい友人。
‘9月11日’の犠牲者があの時かけた電話も‘憎しみ’や‘復讐’でなく‘愛’のメッセージだった。見渡すと、実際のところこの世には愛が満ちあふれている」と。

毎度ヒースロー空港の到着ゲートを通る度に、このシーンが私の脳内にフラッシュバック。到着ゲートで待ちかまえている知らない人々全員に「キス&ハグ」をしたくなるのです。そのくらい心に残る印象的なシーンです。

肝心の映画の内容は、19人9組の様々な愛の物語が同時進行。初めて見た時は「何がなんだか?どれが誰だか!」分からなくなってしまうかもしれませんが、もう一度見れば良いのだから気にしなくても大丈夫。

独身イケメン英国首相を演じるヒュー・グラント、弟に恋人を取られたミステリー作家役にはコリン・ファース、さらにはハリーポッターのスネイプ先生(アラン・リックマン)とトレローニ先生(エマ・トンプソン)が夫婦!ビル・ナイやキーラ・ナイトレイ、ミスタービーンだって登場しちゃう。売れっ子イギリス俳優陣が大集合!

泣いて笑って大忙し。使われている音楽も印象深い曲ばかりで、それぞれのシーンに深みを出しています。人生の酸いも甘いも、悲しみも喜びも受け止めたくなる、そんな映画です。

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クリスマス前のロンドンが舞台なので、町並みなどの景色も楽しみの1つ。

万年曇り空で、くっそ寒い(あらやだ!汚い言葉で失礼!)、そんな冬のイギリスに欠かせないのが、「Mulled wine」※イントネーションはモルドワインやマルドワイン。

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赤ワインにオレンジなどの柑橘系、シナモンやクローブ、八角などのスパイスをいれ、甘みをつけた、暖かいワインのこと。いわゆるホットワインです。見るからにクリスマスムード全開。

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ドイツでは「グリューワイン」、フランスでは「ヴァンショー」などと呼ばれ、作り方や材料は多少変わりますが、ヨーロッパのクリスマスには欠かせない冬の飲み物です。

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ヨーロッパ各地で開かれるクリスマスマーケットでは必ず「モルドワイン」のスタンドを見かけます。しかも何軒も!きっと日本的な感覚では、大晦日の縁日や神社での甘酒のようなもの。香りが良く、心も身体も温めてくれるのです。

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モルドワインの基本スパイスは「シナモン」「クローブ」「八角」の3種類。

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実はコレ、先月の【五香粉とセロリの餃子】に使った「五香粉」に含まれているスパイス。

身体に嬉しい効能が沢山含まれているスパイスたちです。

シナモン

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日本でもおなじみのスパイス「シナモン」お菓子の香り付けとしても重宝しますが、ワインにいれると一気にクリスマスムード漂う香りに早変わり。
シナモンには血行促進作用があり、冷え性の改善効果も期待できます。殺菌作用や解熱作用もあるので、シナモン入りのワインを飲めば、「アルコール消毒!」なーんて言いながら風邪の予防にも役立つかもしれません。発汗作用も期待できるので、むくみ予防にも良いでしょう。シナモンはハチミツとの相性が抜群!

クローブ

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スパイシーでありながらもバニラのような甘さを秘めた「クローブ」。身体を温め、免疫強化も期待ができるので、特に冬の季節にはありがたいスパイスです。カルダモン同様に、消化器系トラブルにも効果的!媚薬としても使用されていたそう♡
意中の人と初デートにはクローブを使ったモルドワインがオススメかもしれません。クローブは柑橘系との相性が抜群。料理やお菓子作りにもぜひ活用してみてください。

八角

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独特な香りが特徴的で、好き嫌いがはっきりと分かれる「八角」。特に身体を温める効果が高く、冷えや食欲不振に効果的。赤ワインと合わせると八角の唯一無二な存在感が引き立ちます。八角が苦手な方もぜひ試してみてください。

さて。みなさん、お気づきかしら??実はこの3種類のスパイスに共通するのは、どれも身体を温めてくれる効果があるということなのです。

ホット&スパイシーなモルドワイン

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お家でも気軽に作れて美味しいモルドワインは、クリスマスパーティーやお正月の集まりにもピッタリ。作り方はとても簡単です。

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■材料
・赤ワイン 1本 (安価なものがオススメ)
・オレンジ 半個
・リンゴ 半個
・クローブ 10個
・シナモン 2本
・八角 4個
・ローリエ 3枚
・メープルシロップ 大さじ2杯
・冷凍のベリーミックス
・リンゴジュース 200ml
・カルダモン 2個 (潰してから入れる)
・生姜 ひとかけ

※お好みで
・ブランデーなどのアルコール 1/4カップ

■作り方
① オレンジとリンゴ、ショウガはスライスして、全ての材料を鍋に入れる

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② 弱火で30分ほど温める。アルコールが飛んでしまうので、絶対に沸騰させないように!

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③ ティーカップや耐熱のグラスに注いで出来上がり

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クローブなどのスパイスを誤って飲まないようにご注意!飲む前に漉して、飾りでオレンジやライム、ベリーやシナモン、ローズマリーをトッピング。

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もし、クロックポッドなどのスロークッカーをお持ちであれば、材料を放り込んで2時間程温めれば簡単に出来上がります。なんなら炊飯器でも多分作れます。(私は試したことはありませんが!)

薪ストーブやキャンプでの焚き火で作れば、香りも良くゆったりとした時間が流れるでしょう。

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ってなわけで、今年の秋冬はお家でモルドワインを作り、一杯ひっかけながらのムービーナイトはいかがかしら?

家族や恋人、友人など大切な人へ日頃の感謝をこめて過ごすホリデーシーズン。 実は自分の身の回りに溢れている沢山の「愛」を見逃さないように。love actually is all around♡

creator
ルーシー恩田 @say_it_with_lucys
アンティークバイヤー / IFA認定アロマセラピスト / ITEC認定リフレクソロジスト

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20代に訪れたタイ・チャン島でのファスティング(断食)経験から、心・体・生活環境などを全体的にとらえる事により、本来の自然治癒力を高め病気に負けない体づくりを学び啓発される。会社員としてデザインの仕事をしながら英国IFAアロマセラピストの資格を取得。退職後は更なる経験と知識の向上のためイギリスへ渡り、英国ITEC認定リフレクソロジストの資格を取得。現在は家業のイギリスアンティークの買付と販売をしながら、アロマセラピスト的な視点で自家栽培の野菜とハーブを使ったお料理教室やワークショップを開催している。https://www.lucys-antique.com/


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hanaike はないけ
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