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燕が眠る夜

今年も燕がやってきた。倉庫の天井の鉄骨の梁に、2組の燕のつがいが以前からあった巣を少し修理して入った。西の奥の方にはベテラン風の大きめのつがい、北の出口に近い方には少し小さいつがい。二組の雛が孵った頃にもう一組のつがいが来て南の出口の近くにあった巣に入ろうとしたが、大きいつがいが徹底的に攻撃して追払い、1日2日のあいだ隙を見て何回か入ろうとしていたが諦めたようだ。北の小さいつがいは攻撃に加わらず、四羽の戦いを離れたところから見ていた。

私の部屋は倉庫の一隅にある。燕のために朝は4時半に倉庫のシャッターを開け、夜7時過ぎに締める。寝坊すると燕が大きい声でおしゃべりをして私を起こす。昨夜閉めようとして親燕が帰っているか確認したら、いつも巣の近くに留まっている北の巣の親がおらず、もう一羽の親は半分巣に入るようにして雛たちといた。しばらくシャッターを閉めず暗くなるまで様子を見たが帰ってこなかった。今朝から気になってみていたが、西の巣のつがいがひっきりなしに雛に餌を取ってきて食べさせているのに比べて、片親しかいない北の巣ではなかなか親が帰ってこず、雛たちは何に反応するのか、親の姿もないのに時々目一杯口を開けて頭を伸ばして餌を要求していた。西の巣の雛たちが親が持ってきた餌をもらおうとして騒ぐと北の巣の雛たちもやや小さめの声で騒ぐのを不憫に感じた。

今夜シャッターを閉めようとして確認したら北の巣の親はいなかった。雛たちは巣から少し頭を覗かせていた。奥から2番目の雛が声なく口を開けるのが見えた。育児放棄?調べてみると「親鳥は雛一羽に一日50匹もの毛虫を与えている。5羽も孵化すると250匹、夫婦で毛虫集めをするとして自分たちが食べる分もあるので、最低200匹もの毛虫を集めなければならない。親鳥は休む暇もなく巣を出入りし、その過酷な仕事をしている。1日餌をもらえないと雛は餓死する。片親になった場合には、新しい雄とつがいになるかヘルパーの燕が入るかということがなければ雛を育てるのは難しい。」ということだった。雛が成長して巣立つことができるのは5割だということだった。

23時。西の巣では大きくなった雛たちが巣からはみ出しそうになりながら眠っている。巣のそばで親鳥たちが嘴を胸毛に入れるようにして寝ている。北の巣では小さい雛の頭が並んで覗いている。嘴を上げているように見えるのもいる。みんな眠っているだろうね?深い眠りに包まれているだろうね?

外は蛙の大合唱だ。




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