花布

読書・音楽・語らい

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最近の記事

悪口って面白いけど

M-1グランプリ2022のウエストランドの漫才が、ウケている理由は分かるのに、自分にはぴったり来なかったのはなんでかなと考えていた。 一応の答えが出たので、同じことでモヤモヤしているごく少数の人に届けと願って書いてみる。 ウエストランド(の井口)が悪口の対象としたのは、YouTuber、お笑い評論家、アイドル、田舎者、大阪の人、などなど、ほとんどが属性についての悪口だった。 (理解者が少ないことは僕自身の人生経験でよくよく思い知ってはいるのだが)僕の思いを語るならば、属性で

    • ばっちいゲボゲボなもの

      以下、キングオブコント2022のネタバレを含みます。 岐阜ワンダーランドでキャストとして働くナンシー(吉住)は、勤務中よろしく私生活でも満面の笑顔をくずさず、身振りは大仰だ。しかしそれもそのはず、ナンシーは岐阜ワンダーランドの入社日に園長の沼田(岡野陽一)に「脳の羞恥心を司る部分」を破壊されていたのだった。 ある日、パレードの踊りでミスをしてしまい、プロ失格だと自分を責めるナンシーに、沼田が優しく声をかける。 「脳の一部を取っているのがプロ、取ってないのがアマだ」 だからナ

      • 記憶について

        僕の友人は師匠のもとで修行をしていたことがあった。 僕もその師匠とは面識があったのだが、修行から帰ってきた友人のふとした時に見せる表情や所作が、師匠とそっくりだった。 その師匠が高齢で体調を崩していた折だったので、生霊が乗り移ったのではないかと、そうとしか思えなかったほどだった。 その友人の口癖が僕に移ったこともあった。我々は協同して多くの議論を交わしたのでもはや片側にオリジナルな思想というものはないのかもしれない。 しかしいかにも彼の使いそうな言い回しが僕の口から出てきた

        • 天才ピアニストのレジのネタ

          The W 2021を見終わって、なぜか分からないけれど天才ピアニストの2本目のネタが頭から離れなかった。 面白さの他に違和感のようなものがあって、それを言葉にしてみたい。 まず、客の買い物カゴから今日の晩ごはんを推測して、外れていたら店員(仮に上沼さんとする)が全額払うというルールは、あまりに上沼さんに不利ではなかろうか。 上沼さんが一時の悦楽のために、良くて引き分けの賭けをする動機がいまいちよく分からない。 それにこのゲームはルールに不備がある。 少なくとも、 ①買い

          M-1グランプリ2020 感想

          準決勝も関西の映画館でパブリックビューイングを見ることができたので、その記憶も絡めながらら、M-1グランプリ2020決勝の感想を書き残しておきたいと思います。 お笑いは非常に移り変わりの激しい分野で、10年前に流行ったネタを見てもどこが面白かったのか、何が評価されていたのか、わからないことがよくあります。 ですから一個人がリアルタイムに何を感じていたかを書き残しておくことは価値のあることで、私自身も先人たちのお笑いブログから多くを学んできました。 言い訳めきますが、個人の趣味

          M-1グランプリ2020 感想

          The W 2021 感想

          The Wが誕生した当初は、性別で出場者を制限しても大会のレベルが下がるだけじゃないの?と懐疑的に見ていた。 しかし、女性芸人ばかりが並ぶことで、The Wという大会に、M-1やキングオブコントとは違った固有の評価基準が自然と生まれていることに気づいた。 例えて言うなら、 ①マンゴー②ぶどう③ドラゴンフルーツ④ドリアン ならマンゴーが勝つけれど、 ①マンゴー②ぶどう③柿④りんご が並ぶと、ぶどうが勝つ気がしませんか?(ピンとこなかった人はもっと良い例を考えてくださいな) 出場

          The W 2021 感想

          キングオブコント2021

          ①蛙亭「実験体No.164」 キングオブコントの醍醐味は、自分の知らなかった「面白い」がこの世にはまだあるんだと驚く瞬間だ。 それはキリンスマッシュであったり、おばはんであったり、天竺鼠の寿司であった。 かくして今回の蛙亭もまた、そうした新たな「面白い」を垣間見せてくれた。 そういえばローション相撲はあんなに面白いのに、コント内でローションまみれになる奴はいなかった。 ネタ出番のたびに舞台をビショビショにするわけにはいかないから、思いついた芸人さんも現実的な制約のために試みて

          キングオブコント2021

          短歌

          ウィスキーを呷(あお)り内壁なぞる時 君の悲しみわかったかもね しまうまはしまをしまとはしりもせず しまのないもの不思議に見てる 花を見る写真の君が今どこか生活しているそんなまさかね 寂しさを振り払おうと聴きすぎて間抜けになった好きだった歌 ぐちゃぐちゃで 駄目な日だって いいじゃない 朝日がじゅわっと 灼き尽くすから

          なぜ私は寂しいのか

          私は寂しい。部屋でテレビを見ているとき寂しい。友人と談笑しているとき寂しい。壁を見ると寂しい。勝ち得たとき寂しい。目覚めたとき寂しい。寂しいときは…寂しくないかもしれない。 私はなぜこうも寂しいのか。その寂しさは私の存在の奥底に流れる脈である。寂しさとはどこまでとっても私の問題である。世界のすべての人が私に微笑んでも、より一層寂しいだけ、寂しい、寂しい。寂しさは他でもない私が引き受ける私の必然である。 寂しいならばと仲間を作ればよいわけではない。そのような慰めは、より根本

          なぜ私は寂しいのか

          カウンセリングのテクニックについて

          カウンセリングのテクニックというものがある。 オウム返し、ミラーリング、リフレーミング、などなど…。 およそカウンセリングを学ぶとあれば、こうした技法を身につけることを指すことが多い。 しかしこのような腑分けされたテクニックが存在することを一度知ってしまうと、私たちにはカウンセリングが機械的な応答にしか見えなくなってしまう。 うん、うん、と身を乗り出して話を聞いてくれるカウンセラーがその実、マニュアルをなぞっているだけなのではという不安は、クライアントの本音を閉じ込めてしま

          カウンセリングのテクニックについて

          R-1グランプリ2021 ネタの感想

          〜有料記事にはなっていますが、最後まで全部読めます〜 予告なく出場制限を10年以内にしたことで反感を買い、霜降りをMCに、野田クリスタルやザコシらを審査員に据えたことで期待感を上げた新生R-1グランプリ2021は、番組構成の失敗が目立つという結果になった。 このあたりの不満は恐らく他にも書いている方がいらっしゃると思うので、ここでは各出場者のネタについて感想を書いておきたいと思う。 もちろんネタを軽く一言で論評するなんて失礼極まりない話なのだが、2021年のリアルタイムで

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          R-1グランプリ2021 ネタの感想

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