ぼちぼち生きてて、ええこともある
「何をしてるか分からない人」が世の中にはたくさんいる。
大体の人が、「何をしてるか分からない人」だと思ってしまうのは、世間を知らなすぎるからだろうか。
例えば「仕事」「職業」について、わたしはほとんど分からない。それでも、「明日仕事だ」と言われたら、そうなのかと思うし、それはあくまで「予定をFIXされること」以上の理解には及ばない。
「仕事」と時間や空間的な「拘束」が結びつくから、「仕事したくない」と逃避したくなる。
その日は「仕事」なのだけど、仕事中の時間がすべて「仕事」をしていて「仕事」のことだけ考えているわけではない。少なくともトイレに行く時間はあるだろう。食事休憩だったり、お茶を飲むとか、わかりやすく「休憩時間」ではなくても、お客さんや同僚とのコミュニケーションの中に「雑談」の要素を1mmも挟ませないのは至難の業ではなかろうか。
「今日の夕飯何にしよう」とか、「シャンプー買って帰らなきゃ」という思考がふと浮かんでしまうことだって止められない。
世の中にはいろんな仕事があるけれど、そのほとんどは「イメージ」でしか知らないし、同じ職種であっても働く場所によってかなり違いがある。しかも「イメージ」すらできない仕事もたくさんある。一般的にイメージしやすそうな「サラリーマン」「OL」といったざっくりとした括りの仕事について、わたしは何しているのか何度聞いてもイメージできない。
そもそも、ほとんどイメージできない正体不明の世界に放り込まれているくせに、その中でもさらに不可解な「なにしてるかわからない人」に興味がある。
そんなことを改めて思ったのは、「コーポ・ア・コーポ」という映画を観たからだ。
なんか、この感じ、ゆるい感じが好きだ。
決してのほほんと生きているわけでもなく、何だったら若干「過酷」な境遇にも思える。
それでもなお、現状を現状のままに受け入れて、ぼちぼち生きてる。それでなんとかなるし、ええこともある。
主題歌がT字路sの「愛おしい日々」も、すごくいい。だって「愛おしい日々」なんてタイトルだけで泣ける。
さわやかでもスッキリでもキラキラでもないけれど、なんか観てよかった。聴いてよかった。よかった。
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