「地球星人」うわーってなった
うわーって思った。そういう衝撃のある村田沙耶香さんの作品「地球星人」を読んだ。
主人公は小学5年生の女の子。この星(地球)の地域の家族の「普通」に馴染めなかった。生来の特性なのか、虐待の影響なのか、それでもその状況で環境で「生き延びる」しかないという残酷。
しかし、物語は「かわいそう」という文脈では描かれない。主人公目線でありながら、外から眺めると「滑稽」にさえ思えるほどに尖がった「魔法」や「ポハピピンポボピア星人」設定で真剣に生きている。
「滑稽」であるが笑えない。「狂気」とも言えるが「切実」過ぎて笑えない。
子どもの頃、一緒に宇宙に還りたいと願ったいとこ(恋人)は、大人になって上手に地球のルールに従って生きているように見えた。だからこそこのセリフが出てくる。
それは「常識」に則っていて、そういう葛藤あるよなと思ってしまう展開なのだけど、ここからさらに、「どちらにでも」寄せることのできるいとこの本領が発揮されていく。
そんな展開がとにかく「うわー」なのだ。
うわーって何?語彙!!!!と思うけど、とにかく「うわー」で、そのうわーは、離脱してしまう人もいるだろうなって思うようなうわーでもある。
一瞬、無理かもと思ったけれど、それ以上に目が離せなかった。
村田さんの作品は、「上手に生きる」ということを誇らしく思えない、むしろ後ろめたささえ感じてしまうような自分の中にある「何か」を刺激する。
「何か」が自分の中にあるから目が離せないのだろう。恐くて愛おしい「何か」と共に今日も生き延びている。