見出し画像

常識ってなんだろう

僕のマリさんの「常識のない喫茶店」を読んだ。

先に「書きたい生活」を読んだので順番が逆になってしまった。
だけど、この本に出会えて、たどり着けて良かった。本当に良かったと心から思った一冊だった。

失礼な客は容赦なく出禁にする。「客」だからって、何でも許されるわけではない。
そうやって自分の尊厳を守って、理不尽に屈することなく働ける環境の中で繰り広げられる忙しくも楽しいお仕事の話。エピソードの一つ一つが面白いし、納得してしまう。

そもそも「常識」って何だろう?

ある社会のある時期において、一般の人々がとくに反省することなく当然のこととして共通に認めている意見や判断のことであり、その社会の歴史のなかから自然に形成される。

コトバンク

私は真面目で、小心者なので、得体のしれない常識とやらに絡めとられて、勝手に疲弊してきた。
そんな「常識」に従う必要はないのに、従っている意識もないまま、自動的に屈していた。だからしんどくなった。でも、しんどい理由が分からなかった。所謂「ビリーフ」ってやつだ。
そんな自身の体験も思い出しながら読んで、笑いながら、そしてほろっと涙した。

この世の中は狂っている。悔しいがそれが事実だ。何の主張もせず、狂った奴らの言いなりになって働くのか。
(中略)
間違っていることを間違っていると言えない弱さは、のちに自分を苦しめることになる。どんな相手でも対等であること、嫌な気持ちに素直になること。そういう当たり前のことをやっと思い出せたから「常識のない」人たちを出禁にし続けることができた。店にだって、お客さんを選ぶ権利はある。罵倒されても、言い返されても、わたしたちは黙らない。

「常識のない喫茶店」僕のマリ

こんなに長く引用してしまって申し訳ありません。

震えた。これだこれだ!と涙が出る。
正しさを主張して戦うのではなく、自分と自分の仲間の「この場所」を守るために主張する。
自分の領域を守るための戦いで、相手を屈服させることが目的ではない。
「まあいいや」「このくらい平気」とやり過ごしていた小さな積み重ねが、今の自分を苦しめている。
思い当たることがあって、とにかく涙が出てしまうのだけど、心地良い居場所を得るためには、このまま「無力な私」でいるわけにはいかない。ちょっとだけ決意と覚悟でじわじわと際際に追い詰められていく。嗚呼。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?