闇に目を向ける

今日から4月だ。
特に節目感もなく過ごせるのがありがたい。

「映画観に行こうかな」と言ったら、「昨日も観たじゃん。映画好きだね」と言われた。
そうか、映画が好きなのか。全く自覚がなかった。
今日観た映画は「The Son」重そうで暗そうで、やめようかなとぐずぐずしていたけれど、なんかえいやッと観に行ってみた。

これ、さわやかに笑っているけど、全然笑えない話だった。
笑っているシーンも痛々しい。

愛では救えない。必要なのは愛ではない。
最後に試されていたのも愛ではない。

人は、自分の見たいものしか見えない。自分の目でしか、自分の視点からしか、自分の枠組みの範囲でしか、見ることができない。目の前にあるのに、手の届く所にいるのに、遠く遠く、わかり合うことができない。
わかろうとすることも難しい。
だから、「相手に理解してもらえる」理由を取り繕う。本当の気持ちではない。本当の気持ちは、言葉にならない。ただ、苦しい。
苦しくて、もう「この世界」では生きられないのに、生きている。
「この世界」で生きるための正しい道を示されたって、そんなの苦しいだけなのに、「正しくない」方は、「この世界」に合わせなくてはいけなくて、益々苦しい。

苦しめている方も苦しい。自分が言われて嫌だったことを「親」の役割として子に伝えている。
息子のことを大事に思って、息子のために頑張っている。自分の人生だって大事なのだと、もちろんそうなのだけど、一番言っちゃダメな場面で、一番言っちゃダメな人に言ってしまう。苦しい。

誰かが「悪い」わけではない。
わかりやすく「悪人」「悪者」がいるわけではない。
何が正しいのかわからない。
「苦しい、助けて、苦しい」という叫びに、何ができるのだろうか。
「そんなことないよ、大丈夫」と光ばかりを見ようとしてしまう。
希望に縋ってしまう。
どんなに恐ろしくても、暗くて深い「闇」に向き合わなくてはならない。
何もできなくても、目を背けて救われることはない。
重い、重いよ、重すぎる。苦しいね。

いいなと思ったら応援しよう!