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非力なオバサン

今日も最小行動なのに、いろいろ気づきが多い一日だった。

少しは動こうと、昼過ぎにミニマムな散歩に出かけた。
私は、例えば道で困っている人がいても、声をかけることができない冷酷な人間だ。
しかし今日は、目の前で自転車から転げ落ちそうになっている人に遭遇し、手を差し伸べてしまった。あまりに目の前だったのと、穏やかそうな女の人だったこと、他に人がいなかったことなどの要因から「大丈夫ですか」が言えた。

とはいえ、自転車を支えるくらいしかできない。どうやら後輪に服が絡まってしまったようだ。
すぐさま後ろから自転車でやってきたおばさまが、なんとか絡まりをほどこうと悪戦苦闘していた。
走ってる車輪に巻き込まれたのだから、反対向きに回しながら解けないものかと、タイヤを動かすが回らない。

そこに、お婆さんの車椅子を押したお爺さんが通りかかった。
一度通り過ぎて、お婆さんの車椅子を平らな場所に止めてから、「手伝います」と言い、タイヤを回しながら服を引っ張り、くるくるくると見事解決してくれた。

みんな笑顔で解散。
まあまあ良い話。なのだけど、ものすごーくモヤモヤしてしまった。

なぜなら、その前に読んでいた本の影響だと思う。
男、力、強さみたいなこちら側とあちら側をまざまざと感じさせる話にモヤモヤしていたのだ。

確かに私は、元々運動していない軟弱なフィジカルな上、ここのところ体調が悪くて疲れやすい。非力なオバサンだ。
お爺さんは、マッチョではないけれど、いつもお婆さんの車椅子を押しているし、元気そうだ。
そして親切でとても良い人だった。

それなのに、非力なオバサンは、お爺さんにすら敵わないのかと思ってしまったのだ。そんなこと考えちゃう自分が小さくて泣ける。
力でねじ伏せる世界など望んでいないし、そんな暴力的な場面に遭遇したわけでもないのに、ただただ悔しいと思う。この気持ちはなんだろうと、昇華できないでいる。

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