突然視界ゼロ…"ホワイトアウト"から命を守る。冬の北海道を走る新常識
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冬の北海道は、視界不良による交通事故のリスクが常に存在します。「無理をしない」という判断が何よりも大切ですが、視界不良の程度を天気予報のように"見える化"したWebサイト「吹雪の視界情報」を事前に確認することにより、事故の未然防止につなげることができます。
突然襲う「ホワイトアウト」の恐怖
雪道運転に慣れた道民にとっても、視界が悪い時の運転は危険です。道内では近年、冬型事故は減少傾向にあるものの、視界不良による事故は依然として発生していて、高速で走っている車同士が巻き込まれると、多重衝突や大規模な事故につながりやすい特徴があります。
特に「ホワイトアウト」と呼ばれる現象は、わずかな時間で視界が奪われます。周囲の雪や地面、空が一体化して真っ白な世界に包まれたように感じるため、自分がどこを走行しているのかすら、分からなくなることがあります。
再生回数37万回超。多重衝突の教訓伝える
ホワイトアウトが原因の事故は、毎年のように発生しています。
最近では、2022年2月、函館市の隣町・北斗市を走る函館江差自動車道で、車約100台が絡む多重衝突事故が発生。1人が死亡し、8人がけがを負いました。
北海道交通安全協会(道安協)は事故を機に、北海道警察(道警)と協力して、事故発生時の映像をはじめ、ホワイトアウトの発生メカニズムや対処法などを分かりやすくまとめた動画を公開。啓発に力を入れています。
再生件数は2025年1月現在、37万回を数え、関心の高さを伺わせます。
事故の特徴:日中がハイリスク
視界不良による事故は、吹雪や地吹雪などにより視界が悪くなることで発生します。道警のまとめによると、事故は1~3月に集中し、この3カ月間で全体の9割を占めます。
時間帯は、午前7時~午後2時台の日中に目立ち、全体の7割に上ります。日中に事故が多いのは、太陽光が雪と乱反射することによって吹雪が明るく見えてしまい、車や歩行者が見えにくくなるためと考えられています。
場所は、 郊外の5割が直線道路でした。道路脇の雪山から吹き込む雪が視界を遮り、ホワイトアウトの状態を引き起こすためとみられています。市街地では交差点が多く、交差点の角に積み上げられた雪山の影響を受けているようです。
事故の形態をみると、追突事故が最も多く、全体の53.1%を占めています。このうち75.9%が停止中の車両への追突でした。見通しが悪く、前に停まっている車両を見つけるのが遅れてしまうことが主な原因とみられています。
事前予測で防ぐ:進化する気象情報
視界不良による事故を防ぐには、事前の備えが欠かせません。冒頭で触れたWebサイト「吹雪の視界情報」が、強力なツールとなります。
天気予報感覚で確認
国立の研究機関・寒地土木研究所(札幌)が開設しているこのサイトは、吹雪の発生や視界不良の予測を、市区町村別に24時間先まで確認することができます。毎年、厳冬期を前に公開していて、今季も2024年12月から情報提供が始まりました。
研究機関の知見を生かし、北海道特有の気象条件に特化した精度の高い予測が特長です。同サイトでは、気象警報・注意報や通行止めなど、関係機関が発表する情報へのリンクも充実しています。
情報はWebサイトだけでなく、SNSのX(旧Twitter)での発信や、メール配信サービスも提供。必要なエリアの情報を、必要な時に受け取ることができます。
備えあれば憂いなし:情報活用のすすめ
「吹雪なんて大したことない」と思って出かけた結果、道路が通行止めになり立ち往生してしまうケースに、いつ遭遇するかは分かりません。視界情報を出発前に確認し、早めの対策を取ることで、リスクを小さくすることができます。
日頃から危険を予測した運転を心がけながら、情報を活用することにより、事故を1件でも減らし、みなさんで冬を安全に乗り切りたいと思います。
さいごに
…交通安全に本当に微力ながら携わらせていただいており、死亡事故ゼロ、事故防止につながる記事を不定期で投稿できればと考えています。