ジェモロジストが鑑別に出すとき
※今回はちょっとマニアックです!
オーダージュエリーでお客様から鑑別書が欲しいと依頼があった時は、製品鑑別に出していましたが(※)個人的に石だけで敢えて鑑別に出してみたことがありました。
(※製品鑑別だと完成後のリングなりペンダントなりの写真が鑑別書に貼られるので、間違いなくその石の鑑別とわかって喜ばれます)
新宿のミネラルショーだったか、主にブラジル石を仕入れていた方のブースにて「サファーリンと言われたのだけれど」という石を見つけました。懇意とまでは言いませんが、何度か買ったことがあり、事務所にもお邪魔したことがある方でした。
サファーリン。聞いたことはありましたが、GIAの鑑別実習にはなくテキストにもない石でした。サファイアに似たスペルから探り当てたのが英語版のWikipedia。欲しい情報は載っていました。
家にあるのは屈折計と偏光器、ハンディの分光器、二色鏡、ルーペぐらいです。見分けるとしたらサファイアと、でしょうか。色合いがスピネルっぽいと思ったのは、偏光器で複屈折だったので違うとわかりました(スピネルは単屈折)。
屈折率はサファイアより低めの1.701ー1.729、サファイアは1.762-1.770です。
比重が測れれば一発でわかるでしょうね、サファーリンは3.40–3.58、サファイアは4です。比重は水1に対してその宝石は何?という比率で、サファイアの属するコランダムは4なので計算が楽です。
偏光器で2軸性であることがわかったので、1軸性のサファイアとは違います(ここ、ちょっとマニアック)。まあ、サファーリンかなと思いつつ鑑別機関に持ち込みました。
いま思うと、ゾイサイトの可能性も考えた方が良かったですね。屈折率はもう少し低いのですが1.691-1.700で近く、しかも2軸性でした。多色性も強いですし。
鑑別機関にて。
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