これだけ使えば良いかな
先日、ずっと使っていた裁ちばさみが開かなくなりまして。ちょっと動きが悪いな、という予兆はありました。
それには機械油やミシン油をさすと直るかもしれなかったのですが、よく見ると全体的に錆びています。ちょうど近所の刃物屋さんの窓に砥ぎ料金のリストがあったのですが、買った方が安そうでした。
「ずっと使っていた」というのもその鋏は、家庭科の被服の指定教材でした。被服は中学からでしたか…?ということは何年…?
物は大事に使いたいとはいえ、選んで買ったものではない教材がダメになったら、ありがとうと手放して使いやすそうな鋏を買おう、そう思いました。正直なところ、鉄で持ち手がちょっと痛かったのです。
沢山ありすぎて何を買ったら良いか迷いますが、かと言って手芸店に出向くのは暑くて難しい……。スクロールしていたら貝印の鋏が出てきました。C国の安い鋏より、日本製で。
刃はステンレス、持ち手は樹脂で、裁ちやすい角度になっている裁ちばさみにしました。
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中学ではパジャマと、ベルト芯の入ったスカートを作りましたっけ。裁ちばさみも教材とはいえ、授業だけでなくその後も使いました。高校1年の遠足の時に(普段は制服、遠足は私服)クラスメイトが素敵な服を着ていて、どこで買ったか聞いたら「自分で作ったの」。衝撃でした。
触発されて、ティーン向けの手芸の本を買ってきて、ブラウス、スカート、パーカーなど作りました。姉は編み物が好きで私はどうも苦手だったので、姉が私にセーターを編んでくれ、私は姉にブラウスを縫いました。
高3の文化祭はクラスで映画を作りました。自己申告していないと思いますが、私は衣装係。家庭科室でカタカタとミシンを踏んでいました。
姉が妊娠中には、マタニティのジャンパースカートも縫いました。マタニティはサイズがよくわからず、型紙は市販でした。姉は青が好きなので、青い小花の散った生地を買ってきて。
実はファスナーの合わせ目に失敗して5mm近く段差ができてしまったのですが、姉の1子・2子の時のみならず、お友達何人かの妊娠中にもぐるぐる回っていたらしいです。恥ずかし……。
裁ちばさみひとつで、これ以上の歴史があるわけで。裁断の何が楽しいって「型紙をどう置くと最も布を残せるか」でした。思えば、この頃から効率人間だったのですね。裁断の相棒よ、ありがとう。