全てはチワワが如く
「おかるさんはハッキリ物事が言えていいね」
と何度言われたか分からない。
それは純粋な賞賛だけでなく、嫌味も含め。むしろ後者の方が多いのではないだろうか。
とはいえ、私からしてみれば言いたいことの一割も口に出していないのだ。もし十割出せたのならば、そんなことを言ってくるクズ野郎に「そうですね。あなたと違って反射神経も行動力もあるので」と言えただろうに。
否、私はもしかしたら平均より自分の意見を口にできるタイプかもしれない。役職の上の人間にビビる事もないし、客だからとて神様だとは思わない。どちらも所詮「たかが人間」と思っている節がある。
が、別に無敵なわけじゃない。
強い口調で言われたら驚くし、悪口を言われるのは辛い。それがどうして伝わらないのだろう。
尊敬していた上司が、私の方が客に好かれるようになると足を引っ張り出すのはどうしてか。
いつも対等に会話した友が、同棲を始めた途端憐れむように私を見るのは何故なのか。
私はずっと変わらないのに、周囲ばかりが勝手に判断して、扱いを変えて。
当たり前かもしれないけれど、その変化に私は耐えられない。
ずっと、私のことをただ私として見てくれる人がいればいいのに。
いやしないから、携帯の電源を落とし誰もいない土地へ旅するのが私は好きなのだろうと思う。
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