なんでもない相手と酒を飲むのも良いもんだ。

普段私はかなり仲の良い人間としか酒を飲まない。
否、仕事の付き合いで仕方なく同席することはあるのだが、プライベートでは相当親しい相手としか酒を飲みには行かない。

昨日、大学ぶりの友達と池袋で焼き鳥を食べた。
きっかけは、とある大学時代の友人にかなり前から誘われていたのを、鬱真っ只中だったため断り続けたツケだ。仲の良い友人のそのまた友人(一応知り合いではある)まで参加し、正直気は重かった。
集合してみると、案の定最初は全然話が弾まない。なんとなく今の仕事について聞いてみたり、同棲していた彼氏とその後どうなったのかと話を振ってみたり。全く興味はなかったけれど、近況報告をするのが礼儀だとも思ったので、仕事でファシリテーションをする気持ちで言葉を連ねた。

焼き鳥がおいしかったのが救いだと思う。
酒の提供が早かったのが良かったと思う。
軽快に食べ飲み進め、我々3人はすぐにほろ酔い気分になった。
話す内容も、当たり障りのない会話から愚痴に変わり、大学時代を思い出す「うちらって社会に適合できないよね」という、痛々しいけれど、盛り上がる題材に変わっていた。

結婚と言うステータスは得たいけれど、恋愛感情が全くない。子供を育ててみたいけれど、子供が嫌い。お金は欲しいが働きたくないし、新たな友達は欲しいが、知らない人と話すのが苦手で仕方がない。

すべてに全て矛盾していて、けれど、全員がちゃんとうなずける内容だった。否、1名、既婚者がいたから、彼女はもしかしたら「負け犬どもが」と頭のどこかで思っていたかもしれないけれど、とにかくその場では全員が「わかるー」と頷きあっていた。

1軒目で解散するつもりだった。
けれど、2人が飲み足りないよねと言うので、行きつけのビアバーを紹介することにした。これもまた英断だったと思う。ビールはおいしかったし、店内は薄暗くて、愚痴はよりディープなものになった。
ここには書き記さないけれど、なかなかに盛り上がった。もちろんくだらない占いの話とか、性格診断みたいなのをみんなでして、結果が全員同じなのに笑ったりとか、女子高生みたいな時間も過ごした。
お腹がいっぱいと言っていたはずなのに、アイスを頼んで、クラフト、ビールをお互いに交換しあって、味を確認したりした。会社の同僚とは、絶対にできないような飲み会だった。

結論から言うと、昨日は楽しかった。
焼き鳥は家に帰った後吐いたけれど、それ以外は全てが順調にいっていたと思う。
Netflixでギルモアガールズと言うドラマをなんとなく流し、その登場人物たちが、友人と楽しく語らうのを見ても、うらやましいと思わなかったし、劣等感も感じなかった。
家に帰って、やはり疲れが出たのか体調は大幅に崩したけれど、行って良かったと思う。もう彼女たちと飲む事は二度とないんだなぁとも思う。だからこそよかったんだろうなぁと思う。

人見知りが初めての人とは円滑にしゃべれるように、私は案外何でもない相手との方が楽しく飲めるのかもしれない。それはバーに行くのが好きなことが証明しているし、ライターと言う仕事が証明している気もする。社内の人と話すよりも初めて会って、もう二度と会うことがないインタビューイーと話す方が気が楽だ。たまに共通の趣味があると嬉しい気持ちになる。でも、二度と会うことがないというのが、さらに嬉しい気持ちにさせてくれる。だって今後も交流があるとなると、その趣味に関する話を持っていかなきゃいけないし、最悪、その人と趣味に関する何かをしなければならなくなるからだ。

根本的に1人が好きだ。
けれど、一人きりで生きていく強さもない。
だから今後も定期的に何でもない相手との飲み会を開催して、なんとなく寂しいなぁと言う心の穴を埋めていきたいと思う。

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