はぐれられないわたし
はぐれた人にはこの場所が必要だと
ある人が言っていた。
そんな私にとって唯一無二の存在だった場所を失ってしまった。
そこには10代の頃から通っている。
当時私はうんと年上の付き合っている人がいた。でもそれは公にできる関係ではなく、そのbarで
よくこっそりと待ち合わせをした。
彼は来なかった夜もある。
そんな時にマスターは
ちょっとお酒を作り間違えちゃって、あんたラム好きだろ。飲んでくれないか
とテーブルに座って一緒に飲んだ。
マスターはぶっきらぼうで笑わない人だった。
何年も通って、私のその時の様子に寄り添ってくれたのだろう とても良くしてくれた。
言葉にしたことはない。この恋愛の話も何もかも。
でも多分、わかっていたんだろうなと思う。
はぐれた人に寄り添ってくれるそんな場所だった。
濃厚なバタースコッチ シナモンの効いたホットミルクが美味しかった。
その場所に出会えてから、私はひとりぼっち というものが好きになった。
来ない人を待つ時間も悪くない、そんな日もあった。
本心でそう思っていたのか、それとも大人のふりした強がりだったのか今の私には思い出せないほど 遠いところに来てしまった。
その後、私はこのままではいけないと感じて大嫌いだった故郷に帰った。
二度とここには戻らないと決めて出ていった場所。
そこで暫くぼんやりと過ごした。
私はその場所で良い友人ができた。
恋人ができた 結婚をして 子どもができた
仕事を頑張って 独立した
あの通っていた店の事を時々ふと思い出した
でも家事に育児に仕事にと追われる毎日の中全然行くことができず5年が経っていた。
お店の情報を見てみると、すごく悪い事が書かれていて私は目を疑った
続きはまた明日気が向いたら
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