白いレースのクロス
祭壇には古い聖像や宗教画が飾られている。それらはおそらく価値の高いものなのだろうが、私はむしろ祭壇に掛かった白いレースのクロスに親しみを覚える。この教会の人たちが神様を敬っている感じがして好ましい。(中略)彼女はブーゲンビレアを持ってきて祭壇に生ける。教会の裏庭で咲いていた木の一枝だろう。
(若菜晃子/旅の断片)
こういう仕草を知ってるな、と思う。クロスはさっぱりと洗濯されたあと、アイロンがかけてあるんじゃないかな。ブーゲンビレアは枝ぶりのいいところを、たっぷりの水で、一番美しく見える角度にちょっと置き直されたりして。信仰に限らず、大切なものを大切に扱う、少しの手間をかける、そんな景色を何度も見たことがある。