おたまじゃくしをつかまえてカエルになるまで育てた一ヶ月
子どもの読んでいる春夏の植物や生き物の図鑑に、おたまじゃくしのことが載っていた。
「おたまじゃくしを飼ったら、生き物を飼う経験としてよさそうだよね。カエルになったら逃がせば、期間限定で済むし」と夫と話していたら、やる気になった夫がタモを買ってきた。こいつ、本気だ…!
実家の父が借りてる市民菜園の周りには田んぼや水路がある。あの辺りにカエルがいそうだよねってことで、毎年恒例になりつつあるいちご狩りに出かけるついでにおたまじゃくし探しも決行した。5月30日のこと。
私はいちごを採っていて、夫といちご狩りに飽きた子どもたちが水辺の生き物採集をしてきた。
結果、小さなおたまじゃくしとザリガニ、カワニナをつかまえることができたようだ。
ザリガニはおたまじゃくしを狙っているのでその日にリリース。おたまじゃくし4匹とカワニナを2匹連れて帰った。帰り道で金魚用の水槽セットや敷石などを買った。
こうして我が家に新しいメンバーが増えた。
とりあえず水槽を設置。家の周りにあった石も子どもと選んで洗って入れた。まだ台が無いからみんなうつ伏せになっておたまじゃくしを眺める。
おたまじゃくしの餌は柔らかく茹でた葉物野菜がいいと聞き、茹でたキャベツの外葉などをあげる。最初はよくわかっていなかったみたいだけど、2日目になるとぱくぱくよく食べた。特に筋のあたりなどを食べ残してもカワニナが食べてくれるので、きれいに片づく。1日に朝と昼の2回、子どもたちにエサをやってもらった。
水槽が床に置いてあるとみんな這いつくばって眺めているのがどうにも見づらいので、次の週末には台も作った。子どもが触るものなので頑張ってヤスリをかけた。
1週間も経つとおたまじゃくしは採ってきた頃より倍は大きくなり、エサの減りも早い。ポンプが汚れを吸ってくれてるけど、かなり汚れてきた。
もらってきた水草を入れたけど、どんどん茶色くなってしまう。あとカワニナがめっちゃ卵を産んでる。
2週間目の6月13日、みんなで水槽のお掃除。溜まったフンを流し、増えすぎてるカワニナの小さいのもかわいそうだけど一緒に流して…。
蛸壺や新しい水草を買い足してレイアウト替え。こういうレイアウトって楽しい。
しかしこのおたまじゃくし、一体何ガエルなんだろうという疑問。
おたまじゃくしの種類を調べると、色からするとアマガエルかヒキガエルかトノサマガエルか…?すごく大きくなったけど、アマガエル以外のカエルだったらとても触れないよ〜…!
6月16日、1匹のおたまじゃくしに後ろ足が生えてるのを確認!ちっちゃーい!
他の個体も日が経つに連れて足が出てきた。
6月20日。もう前足が生えてきた個体が!なんだか顔つきがカエルになって、色も変わってきた。緑だからアマガエルっぽい。他のおたまじゃくしとは違う種に見える。
おちょぼ口だったのが横に長いカエル口になっていって、手足は体の中で作られてたものが外に引き出されてからしっかりしていく。なんだか胎児と似てるななんて思ってしまう。
口が変わってきたこともあってか、えさを食べなくなった。
6月22日、ついにしっぽつきだけど上陸!
夫が見つけて、興奮気味に子どもたちに声をかけてわいわい眺める。
調べると、この時期のおたまじゃくしはしっぽを栄養にしているらしい!しっぽもいつのまにか縮んでいく。
2〜3日ごとくらいに続々と他のカエルも上陸してくるので、水槽のレイアウトを変更して水を減らして石を増やす。卵がかえって増えまくっていたカワニナは、掃除のときに流してサヨウナラ…。水が減ってもほとんど水槽の側面にへばりついている。みんな上昇志向。
私のベランダ菜園では大量のアブラムシが発生している。なんとかカエルのエサにできないかと、カエルのしっぽがなくなった頃を見計らって,アブラムシを集めてキャベツに乗せて水槽に入れてみる。
カエルは動く虫を認識して食べるというけど、アブラムシが地味な動きすぎるのか、全然食べてもらえない。
まだしっぽがちょっと残ってるせいなのか?それかアブラムシはお気に召さないのか…。
6月24日、最初のカエルのしっぽが消えた頃。
コンポストの方で無限湧きしているコバエを頑張って捕まえてみる。ジャムの空き瓶を持って、コンポストのカバーの布についているコバエを空き瓶へ振り落としたり、飛んでいるコバエをさながらゼルダの伝説で空き瓶を振るって妖精を捕まえるかの如く捕獲する。
確実に食べれるようにとその空き瓶に、カエルを入れる。最初はカエルに理解してもらえなかったものの、なんとか動いているハエは食べてもらえた!
カエルの食べ方は素早くて、口開けたか!?と思ったら近くのハエが消えているといった感じ。スーパースローカメラじゃないと追えない。
子どもの持ってる図鑑によると、このアマガエルはニホンアマガエルだとわかった。アマガエルにもいろいろ種類があるとは初めて知った。
カエルが脱走したときとかエサをやるついでに子どもにも触らせたりもしたけど、特に2歳の方はおっかなびっくりで触るとすぐ振り払ってしまった。虫も苦手だからな。4歳の方は興味津々でわあわあ言いながらも触って楽しそうだけど、やっぱりちょっとだけびびっている。
6月26日にはカエルがみんな上陸した。最後に上陸した個体はまだおたまじゃくし感あったけど、週の半ばにはみんなしっぽがなくなり、カエルらしくなっていた。
どうやらみんな同じニホンアマガエルだった。おたまじゃくしとカエルの顔の印象は随分違うんだな。そしておたまじゃくしより幼カエルは小さい。
2度目の水槽の掃除をして水をかなり減らしていって、ようやく割と石の上に降りてくるようになった。2番目に上陸した個体は特に石の上でじっとしている。最初に上陸した個体はポンプの管に乗っかっていることが多かったけど、相変わらず上の方にいるのがお好きな様子。4歳の娘がそれぞれ「イワラちゃん」「ホスラちゃん」と名付けていた。
ただ害悪だったコバエが有効活用されるのはいいんだけど、カエルが4匹いるから私のコバエ捕獲スキルじゃとても賄いきれない。捕まえるのも大変だし、3番目に上陸した個体はあまりハエを食べないみたいで痩せててかわいそうなので、当初の予定通り元いた場所に戻してあげないとな。
7月3日、週末になったので、ようやく実家の借りてる畑へカエルとカワニナを放しに行けた。
子どもたちはまだカエルを飼いたいみたいだったけど、うちじゃあんまりごはん食べられなくて大きくなれないからと説得した。
おたまじゃくしを捕まえた田んぼへ行ってみると、まだまだおたまじゃくしがいっぱい!田圃の水面一面に泳いでいた。あぜ道には小さなカエルもいっぱい!ちょっと足を踏み出すとわあーっとカエルたちが逃げていく。この時期ってこんなにカエルいるんだ!と驚く。そりゃカエルの合唱が響くわけだ。
我が家のカエルたちの方が一回り大きい気がした。おたまじゃくし時代にたくさんキャベツを食べられたのがよかったかな?
連れてきたタッパーを置くと、飛び出していくカエルたち。たくさんの仲間たちと一緒に大きくなってね。
数匹残していたカワニナもぽちゃぽちゃと田んぼの中へ。
子どもたちは見つけたカエルをまた捕まえる!と言いつつ尻込みしながら追いかけるから全然触れず。たくさんの自然界のおたまじゃくしやカエルを楽しめた。
帰り道からもう私がカエルロス。この車にはもうカエルは乗ってないんだとか、コバエを見るとカエルのエサにしなくていいから殺すしかないなとか思っちゃう。掃除やエサの手間と時間がなくなって、カエルのいない日曜日はなんだかぽっかり時間が空いた。
またいずれは何か生き物を飼いたいなと思う。今度はエサが死んでてもいいやつかな…。