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「させていただかない」勇気
「させていただく」が多用されるようになって、もう久しいと思う。
「させていただく」とは、相手に許可を得て行動することを意味するので、許可を必要としないことに用いるのは間違い、とまではいわないけれども適切ではない。
「お電話させていただく」「ご挨拶させていただく」「ご報告させていただく」
「させていただく」をつけることで、丁寧な、あるいは相手をより尊重した印象になる、ということだろうか。
「お電話いたします」「ご挨拶に伺います」「ご報告します」
としたことで、敬意が失われるとは、私個人は思わないのだけれど。
電話をする前に許可を取るのであれば、「お電話してもよろしいでしょうか」から、「お電話いたします」でよいと思う。
そもそも、「させていただく」を使うのはどのような場面だろうか。
「させていただく」と発している時点で、許可が得られることが前提となっている気もする。それはむしろ、失礼にあたらないだろうか。
会社員時代、この「させていただく」を多用する後輩がいた。
決して、無礼な人ではなかったし、人あたりのよいどちらかと言えば可愛がられるタイプの青年だったが、電話の対応を聞いているととてもモヤモヤした。
「お電話させていただきました」からはじまって、「~させていただきたいので、お会いさせていただいて、お話しさせていただきたいです」
ついでに「とんでもございません」もよく使うので、指摘するかどうかものすごく悩んだが、私は直接指導する立場になかったので、ぐっと呑み込んだ。
気にしない人は多いだろうし、同様の話し方をする人もいるだろう。
しかし、あえて言わないだけで「うーん」と思っている人も結構いるのではないだろうか。
言葉は変化していく生き物だから、”是”とする人が多数派となればそれは認められていく。
文化庁の「国語に関する世論調査」でも、一般に誤用とされている慣用句などを間違いとするのではなく、「辞書等で主に本来の意味とされてきたものとは異なる」としている。
こうして、変化の流れに違和感を覚えるようになってしまうのが、歳を取ったということなのか、単に頭が固いのか。少し悩ましい気持ちにもなる。
「させていただかない」勇気もあっていいではないか、と思っているが声を大にするようなことでもないので、モヤモヤも受け入れてはいる。
でも「結婚させていただきました」に対してだけは、「許可要らないから! ふたりの意思があれば大丈夫だから、おめでとう!」と言いたくなるのだ。
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